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 「うまくアイデアが機能している」。楽天グループが2021年8月5日朝にオンライン開催した事業説明会。三木谷浩史会長兼社長がこう語ったのは、自社で開発した「完全仮想化」と呼ぶ通信技術の輸出戦略についてだ。

 同社は前日の8月4日夜、ドイツで4番目の携帯電話会社として名乗りを挙げている通信会社の1&1と、モバイルネットワークの整備で長期的に提携すると発表した。1&1が整備する5G(第5世代移動通信システム)などのネットワーク設計から保守まで包括支援するという。

 この提携のポイントは、楽天グループが世界に掲げる「RCP(Rakuten Communications Platform)」を1&1が包括的に採用する点だ。RCPとは、楽天が日本の携帯電話サービス向けに導入した携帯電話ネットワークの仮想化技術や機能を、海外の通信事業者に外販していく枠組みのこと。汎用サーバー上に実装可能な基地局やコアネットワークのソフトウエア、運用管理用のシステムなどをパッケージにして提供するものだ。

 巨大な装置産業である携帯電話事業は、大規模な設備投資をどれだけ継続できるかがものをいう。特に設備投資の7~8割を占めるとされる基地局のコストをいかに抑えるかが重要なカギを握っている。世界の携帯会社は中国の華為技術(ファーウェイ)やフィンランドのノキア、スウェーデンのエリクソンの製品を使うのが一般的で、この3社で世界シェアの8割近くを占める。各社は基地局設備を高価な専用機器として販売しており、抜本的にコストを抑えるのが難しい市場構造になっていた。