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 東京オリンピック・パラリンピック向けに政府が発注した、いわゆる「オリパラアプリ」の調達経緯を調べた弁護士チームは2021年8月20日、調査報告書を公表した。違法行為はなかったとしたが、一部で公平性などが疑われる不適切な行為があったと指摘した。

 調査は、オリパラアプリにおけるITベンダーの選定経緯などを問題視した平井卓也デジタル改革相が指示し、4人の弁護士が2021年7月から調査を始めた。今日公表した調査報告書では、調達を担当した内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室(以下IT室)の神成淳司室長代理らのチームによる調達に「違法行為はなかった」としたが、複数の「不適切行為」を認めた。

 神成室長代理らのチームは調達の過程でおおよその発注金額を見定めるため、複数のITベンダーに参考見積書を求めた。あるITベンダーから得た参考見積書を別のITベンダーに送り、具体的に金額を示唆して参考見積書をつくるよう求めていた。

 オリパラアプリの仕様書の作成には、後に下請けで業務を受注することになるITベンダーの社長が参加していた。この社長がクラウド分野に深い知見を持つため、仕様書作成に加わること自体は不適切とはいえないとしたが、秘密保持の義務を負わない民間人をプロジェクトに組み込んだ点は不適切だと指摘した。

 なお調査報告書は、一部週刊誌で報じられた、平井大臣がベンダー選定などに関わった事実はないと結論付けた。IT室からNECへの発注金額がゼロになった交渉は両者が合意したものであり「特段の問題はない」とした。また平井大臣が「デジタル庁はNECには発注しない」などと発言した音声データの流出経路は解明できなかった。平井大臣は2021年8月20日の大臣会見で、調査報告を受けて関係した職員への処分を検討することを明らかにした。

 調査報告書は2021年9月1日に発足するデジタル庁に向けて、同庁の調達を監督するために同時に発足する政府の「コンプライアンス委員会」にも提出される。同委員会などで、デジタル庁が関わる調達のルール整備を進める方向だ。