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 米Maxim Integrated(マキシム・インテグレーテッド)は、MPUやGPUへの電力供給に向けた電源チップセットを発売した ニュースリリース 。特徴は、95%を超える変換効率を得られること(+12V入力、+1.8V/200A出力のとき)である。電源回路技術の工夫で実現した。「競合他社品に比べると効率を約1ポイント高められ、電力損失は約16ポイント削減できる」(同社)。狙う応用先は、AIサーバーやワークステーション、エンタープライズ向けストレージ装置、通信/ネットワーク機器などである。

AIチップ向け電源チップセットの応用イメージ
AIチップ向け電源チップセットの応用イメージ
(出所:Maxim Integrated)
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 新製品は2つのICから構成されている。1つは、マルチフェーズ(多相)動作が可能な降圧型DC-DCコンバーター制御IC「MAX16602」。もう1つは電力変換段IC「MAX20790」。後者を同社は「スマート・パワー・ステージIC」と呼ぶ。ハイサイドMOSFETとローサイドMOSFETに加えて、それぞれを駆動するゲートドライバー回路を1チップに集積した。

 降圧型DC-DCコンバーター制御ICに接続する電力変換段ICの個数によってフェーズ数(相数)が変わる。1つの降圧型DC-DCコンバーター制御ICに対して最大8個の電力変換段ICを接続可能で、最大8フェーズ構成にできる。さらに今回の降圧型DC-DCコンバーター制御ICを2つ並列接続することで、最大16個の電力変換段ICを接続した16フェーズ構成が採れる。1フェーズ当たりの最大出力電流は60A(動作温度が+55℃、風量が200LFMのとき)である。16フェーズ構成時は960Aを得られる。

新製品の応用回路例
新製品の応用回路例
5フェーズ構成の場合。この回路では、新製品の2つのICだけでなく同社の電力変換段IC「MAX20766」を加えて、プロセッサーのシステムエージェント部に供給する電圧(VSA)を作成している。(出所:Maxim Integrated)
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 降圧型DC-DCコンバーター制御ICには、「カップルドインダクター」と呼ぶ電源回路技術を適用した。この技術によって、2つのインダクターを1つに結合させ、それぞれのインダクターから発生する磁束を打ち消して、インダクター電流のリップル成分を抑えられる。同社によると、「カップルドインダクター技術の採用で、変換効率を約1ポイント高められたほか、出力コンデンサーの静電容量を40%削減できた。これで、積層セラミックコンデンサーの外付け個数を減らせる」という。

 今回のチップセットで構成した降圧型DC-DCコンバーター回路の出力電圧は+0.5〜2.3Vの範囲に設定できる。スイッチング周波数の設定範囲は300k〜857kHz。降圧型DC-DCコンバーター制御ICにPMBusを搭載しており、これを介して出力電圧やスイッチング周波数などを設定できるほか、入力電圧や出力電流などを監視できる。

 降圧型DC-DCコンバーター制御ICのパッケージは、実装面積が7mm×7mmの56端子QFN。電力変換段ICは実装面積が3.25mm×7.4mmの12端子FC2QFNである。2製品どちらも、すでに販売を始めている。価格は明らかにしていない。このほか今回の電源チップセットを搭載した8フェーズ構成の評価キット「MAX16602CL8EVKIT」を用意している。同社ウェブサイトでの参考単価は628.97米ドルである。

評価キット
評価キット
(出所:Maxim Integrated)
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