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 英JATO Dynamicsは2021年8月19日、過去10年間の電気自動車(EV)の価格推移を調査したレポート「EVs:A pricing challenge」を発表した。このレポートでは、中国、米国、ドイツ、英国、フランス、オランダ、ノルウェーといった主要なEV市場を対象に、政府の補助金(インセンティブ)とEV価格がどのように変化したかを明らかにしている。

 これまで、CO2削減や大気質改善を目指す各国政府によって各種インセンティブプログラムが設けられ、EV普及の原動力となってきた。しかし、政府の中には補助金の削減を検討しているところもあり、インセンティブが今後長期にわたって継続していくかどうかは分からない。そのため、自動車メーカーはこうした制度の助けを借りなくても、自力でEVの販売台数を増やせるようにする必要がある。その最重要課題は低価格化だ。

世界主要3市場のEV平均価格推移
世界主要3市場のEV平均価格推移
(出所:JATO Dynamics)
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 現在の世界最大のEV市場は中国だ。中国でのEV平均価格は2011年と比べて、ほぼ半分の47%減までコストダウンが進んでいる。一方、米国では38%増、欧州では28%増と、コストダウンどころかコストアップが進んでいる。最近の中国ではわずか3700ユーロ(約48万円)で新車の小型EVが購入できるようになった。一方、米国でのEVの平均価格は3万6200ユーロ(約467万円)もする。

 また、欧州や米国では、エンジン(ICE)車と比べてEVの平均小売価格がとても高い。英国ではエンジン車より52%高く、オランダでは54%高い。

世界主要3市場のEVとエンジン(ICE)車の価格差
世界主要3市場のEVとエンジン(ICE)車の価格差
(出所:JATO Dynamics)
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 政府のインセンティブは、従来のエンジン車とEVの価格差を相殺し、自動車産業を支援する要素である。しかし新型コロナウイルス対策などで政府の支出が増えれば、今のような手厚い補助金をいつまで継続できるかわからない。中国は手ごろな価格のEVを開発したことでEVをエンジン車より魅力的なものとし、政府がインセンティブを段階的に廃止できるほど市場が強化されつつある。しかし、欧米ではEVのコストダウンが進まず、補助金に依存したままだ。

 欧米の自動車メーカーにとって世界最大の自動車市場である中国を無視することはできない。また、中国のEVメーカーは、いつか欧米市場への参入を狙っている。JATOは欧米メーカーに対して「中国EVメーカーを相手に戦うには、EVとエンジン車の価格差を縮めるなどコスト競争力を高める必要がある」とコメントしている。