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 文化庁と総務省は2021年8月25日、「放送同時配信等の許諾の推定規定の解釈・運用に関するガイドライン」を公表した。

 このガイドラインは、改正著作権法(2021年6月公布)に盛り込まれた同時配信等の許諾推定規定(権利者が別段の意思表示をしていない場合は放送だけでなく同時配信等の許諾も行ったものと推定する規定)を安定的に運用することを目的とする。同時配信等には、同時配信に加えて、一定期間の見逃し配信なども含む。文化庁と総務省が事務局を務める検討会でガイドライン案が策定され、2021年7月14日から8月3日までの間、パブリックコメント(意見募集)が行われていた。

 同日には意見募集の結果も総務省により公表された。「規定の対象となる同時配信等の対象範囲を明確にしてほしい」という意見が寄せられたことなどを受けて、注釈を追加した。このほかに軽微な修正が行われたが、ガイドライン案の内容の大半がそのままガイドラインに反映された。

 ガイドラインでは、同時配信等の許諾に当たっての基本的事項について、「同時配信等の利用に当たっても、その旨を明示して許諾の交渉を行うことが原則」「例えば、放送までの時間が限られており、放送番組での著作物などの利用の契約に際して、やむを得ず同時配信等についての具体的な契約を交わすことができないような場合などの権利処理を円滑にするために許諾推定規定が設けられた」とした。さらに「許諾推定規定は利用範囲が不明確な契約を推奨する趣旨で設けられたものではないことから、事情がある場合でも、可能な限り、利用範囲を明示して許諾の交渉を行うことが望まれる」としている。

 放送事業者に対しては、事後的なトラブルを回避する観点から、「権利者側が同時配信等を拒否する意思があると考えられる場合には、放送番組の契約時に、あらかじめ同時配信等での使用の可否を明確に確認すること」「対価の支払いを伴う著作物などの利用について、放送のみを行う場合と、放送と同時配信等を併せて行う場合の対価の相場が異なる場合には、後者の対価を支払うこと」などを留意するように求めている。

 権利者側の「別段の意思表示」に関して、権利者側に求められる条件・留意事項も盛り込んだ。「許諾時に行うこと」「書面で契約を行う場合、別段の意思表示も書面で行うこと。仮に、書面によらない契約を行う場合でも、事後的なトラブルを回避する観点から別段の意思表示の内容を明確に記録に残したうえで当事者で共有することが望ましいこと」「別段の意思表示は、同時配信等を拒否する旨の意思表示のほか、同時配信等を行うに当たっての条件などを伝える意思表示が含まれること」を挙げている。さらに放送および同時配信等の使用料について、「事前に権利者側で基本となる料金を設定している場合には、これを放送事業者に対してあらかじめ周知し、または許諾交渉に当たって示す必要があり、認識を共有することで、許諾の際に使用料に応じた利用範囲が明確となり、事後的なトラブルの回避にも有効」という考えを示している。

文化庁の発表資料

総務省の発表資料