JFEグループは2021年8月26日、グループ全体と傘下の事業会社であるJFEスチール、JFEエンジニアリング、JFE商事の3社のDX(デジタルトランスフォーメーション)戦略を発表した。2021~2024年度の4カ年の中期経営計画期間にグループ総額で1200億円を超えるDX投資を実施し、既存ビジネスの変革と新規ビジネスの創出を進める。JFEホールディングスの北島誠也常務執行役員は「JFEグループは創立以来最大の変革期にある。最大の変革を実現する鍵がDXだ」と語る。

 中核子会社のJFEスチールは現実のプロセスと仮想空間でのモデルを組み合わせ、異常予知や仮想実験を行えるCPS(サイバーフィジカルシステム)の全製造プロセスへの適用を目指す。同社は既に、全高炉へCPSを導入済み。炉熱の予測や異常の検知に仮想モデルを活用して、必要に応じて現実の炉を運用するオペレーターに適切な操作を案内するなどしている。JFEスチールの風間彰常務執行役員は「独自開発した仮想モデルと社内に蓄積されたデータはJFEならではの資産だ」と自信をのぞかせる。

 JFEエンジニアリングは「DXをフル活用したGX(グリーントランスフォーメーション)」を掲げる。同社が独自開発したAI(人工知能)エンジン「WinmuSe」は天候データなどを基に河川の水位や水道需要、電力需要などを予測し、状況に合わせてダムの放水量や水道・電力・都市ガスの供給量などを調整するといったアクションを推薦する。北陸電力と共同開発した「ダム最適運用システム」の実証実験では、一般家庭約1600世帯の年間電力量に相当する500万キロワット時の発電量増加を実現した。同社は今後、こうしたデジタルサービスを外販していく計画だ。

 JFE商事はDXによる新サービスの提供に注力する。グループ会社のJFE商事エレクトロニクスはドローンにレーダーを搭載し、非破壊で物質内部を遠隔検査する仕組みを実現。実証実験ではこれまで目視やカメラによる表面観察だった煙突内壁材の厚みをレーダーで把握することに成功し、損傷の早期発見につなげた。同社は精度向上や機器の軽量化を推進し、早期の事業化を目指すとした。