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 戦略コンサルティングの米ボストン コンサルティング グループ(BCG)は、半導体不足による自動車の生産台数への影響について、2021年8月に実施した最新の分析結果を公表した。21年第3四半期(Q3)に向けて、ゆるやかに回復しつつあったものの、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のデルタ株がまん延したことによる工場が操業停止するなど、状況は悪化している。BCGの試算によると、21年は通年で約700万~900万台の自動車が生産できない見込みだという。

 自動車の生産台数は、半導体不足の影響で21年第1四半期(Q1)が140万台減、第2四半期(Q2)は260万台減となった。COVID-19の影響や、海運輸送の逼迫(ひっぱく)、米国テキサス州の寒波による大規模停電、ルネサス エレクトロニクスの那珂工場火災など、悪影響をおよぼすいくつもの要因が重なった。

図1 半導体不足による21年Q1の自動車生産台数の減少分は140万台
図1 半導体不足による21年Q1の自動車生産台数の減少分は140万台
ドイツVolkswagen(フォルクスワーゲン)はグループ企業分も併せると44万5000台の減産を余儀なくされた(出所:ボストン コンサルティング グループ)
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図2 半導体不足による21年Q2の自動車生産台数の減少分は260万台
図2 半導体不足による21年Q2の自動車生産台数の減少分は260万台
ほとんどの地域で半導体不足の影響が拡大した。米Ford(フォード)はQ1から大幅に増えて56万7000台の減少となった(出所:ボストン コンサルティング グループ)
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 第3四半期(Q3)は、160万台の生産減となる見込みだ。回復の兆しは見えるものの、ドイツVolkswagen(フォルクスワーゲン、VW)のCFO(最高財務責任者)であるAlexander Seitz氏と、フランスRenault(ルノー)のCEO(最高経営責任者)であるLuca de Meo氏のコメントも、Q3は厳しい状況が続くことを示唆している。

図3 21年Q3の自動車生産台数は160万台減となる見込み
図3 21年Q3の自動車生産台数は160万台減となる見込み
COVID-19の感染拡大による工場の稼働停止などの問題が起きているアジア地域以外は、回復の兆しが見えている(出所:ボストン コンサルティング グループ)
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 BCGは、21年6月に通年で500万~700万台の生産減と予想していたが、これを700万~900万台の生産減に修正した。半導体不足の解消が遅れている理由は、主に2つあるという。

 1つは、東南アジア地域を中心にCOVID-19のデルタ株がまん延し、工場の操業が停止していること。もう1つは、自動車向け半導体の生産キャパシティーは増えているものの、そのリードタイムが想定よりも伸びていることだ。特にCOVID-19の流行については、先が読みづらく、今後も影響が続く可能性がある。

 ただ、第4四半期(Q4)の予想は、100万~200万台の生産減という数字を据え置いた。理由は、「プラスとマイナスの要因があるため」(BCG)とする。

 プラス面は、以前より継続している半導体の生産キャパシティーの拡大がある程度効果を表し、ボトルネックが緩和されてくる見込みであること。マイナス面はCOVID-19の影響が長引くことになった場合、Q3の影響がQ4にも残ってしまう可能性があることだ。「これらがどのように影響するか、もう少し見極めが必要」(同)とした。なお、産業機器も含めて半導体の全体需要に見合う供給量が回復するのは、2022年の後半と予想している。

図4 世界の自動車生産台数の推移
図4 世界の自動車生産台数の推移
Q4の予想は、100万~200万台の生産減という数字を据え置いている(出所:ボストン コンサルティング グループ)
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