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 TDKは、高速な差動伝送ラインのノイズ対策に向けたコモン・モード・フィルター(コモン・モード・チョーク・コイル)を2製品発売した ニュースリリース 。どちらも外形寸法は0.45mm×0.3mm×0.23mmと小さい。いわゆる「0403サイズ品」である。2製品どちらも、スマートフォンやウェアラブル機器、タブレット端末、スマートグラスなどに向ける。

 同社は、0403サイズのコモン・モード・フィルターとして「TCM0403Sリーズ」や「TCM0403Rシリーズ」、「TCM0403Mシリーズ」を販売中である。今回の2製品はTCM0403Mシリーズに追加された。これまでTCM0403Mシリーズでは、伝送速度が480M〜1.65Gビット/秒の差動伝送ライン向けを製品化していた。今回はそれよりも伝送速度が高い差動伝送ラインに向けた2製品を追加した。

 1つは、8G〜12Gビット/秒と高い差動伝送ラインのノイズ対策に向けた「TCM0403M-120-2P-T210」である。同社が8G〜12Gビット/秒に向けた0403サイズ品を製品化するのは今回が初めて。USB 3.1やHDMI 2.1、DisplayPort 1.4などのインターフェースでのノイズ対策に向ける。もう1つは、4G〜6Gビット/秒の差動伝送ラインに向けた「TCM0403M-350-2P-T210」である。同社はTCM0403Sシリーズの中で、4G〜6Gビット/秒に向けた0403サイズ品「TCM0403S-350-2P-T210」を販売中だが、新製品はこの既存品に比べてノイズ除去特性を高めた。USB 3.0やHDMI 2.0、MIPI D-PHY、DisplayPort 1.2などのインターフェースでのノイズ対策に向ける。

高速差動ラインのノイズ対策に向けた0403サイズのコモン・モード・フィルター
高速差動ラインのノイズ対策に向けた0403サイズのコモン・モード・フィルター
(出所:TDK)
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 今回の2製品は薄膜タイプのコモン・モード・チョーク・コイルである。「当社既存のTCM0403SリーズやTCM0403Rシリーズに適用していた製造技術に比べて、微細パターンの形成方法を改善するとともにコイルの構造を最適化することで、当社が現在販売している0605サイズ(0.65mm×0.5mm×0.3mm)品と同等のノイズ除去性能を確保しながら、0403サイズに小型化した」(同社)。0605サイズ品を0403サイズ品に置き換えた場合、基板上の実装面積を58%削減できる。

 発売した2製品のコモンモードに対する減衰量と、ディファレンシャルモードに対する挿入損失を下図に示す。TCM0403M-120-2P-T210のコモンモードに対する減衰量のピーク値は5.0GHzで、その減衰量は28dB(標準値)。TCM0403M-350-2P-T210のコモンモードに対する減衰量のピーク値は2.4GHzで、その減衰量は21dB(標準値)である。ディファレンシャルモードに対する挿入損失のカットオフ周波数はTCM0403M-120-2P-T210が16.0GHz(標準値)、TCM0403M-350-2P-T210が12.0GHz(標準値)とどちらも高い。このため差動伝送ラインの信号成分に与える影響を最小限に抑えられる。

TCM0403Mシリーズ製品の特性
TCM0403Mシリーズ製品の特性
左はコモンモード成分に対する減衰量(Scc21)、右はディファレンシャルモードに対する挿入損失(Sdd21)である。今回の新製品は、図中の「TCM0403M-120-2P-T210」(オレンジ色の線)と「TCM0403M-350-2P-T210」(緑色の線)である。「TCM0403M-900-2P」(紺色の線)は既存品で、伝送速度が480M〜1.65Gビット/秒の差動伝送ライン向けである。(出所:TDK)
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 TCM0403M-350-2P-T210において、同社既存品(TCM0403S-350-2P-T210)から高めたノイズ除去特性は、ディファレンシャルモードからコモンモードへのモード変換量を示すScd21である。モード変換量は周波数によって異なるが、「当社既存品に比べて10dB程度低減した」(同社)。差動伝送ラインにおいてコモンモード成分が存在すると、それが差動伝送ラインの受信端でコモンモード電圧となり放射電磁ノイズ(EMI)の発生源になる。今回はScd21を10dB程度低減したため、EMIの強度を下げることが可能になるという。

既存品と比較
既存品と比較
既存品「TCM0403S-350-2P-T210」(オレンジ色の線)と今回の新製品「TCM0403M-350-2P-T210」(緑色の線)の特性を比較した。左は、コモンモード成分に対する減衰量(Scc21)とディファレンシャルモードに対する挿入損失(Sdd21)。右は、ディファレンシャルモード成分からコモンモード成分へのモード変換量である。(出所:TDK)
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 発売した2製品の主な特性は下表の通り。量産は2021年8月に始めている。サンプル品の参考単価は2製品どちらも33円(税込み)である。

新製品の主な特性
新製品の主な特性
(出所:TDK)
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