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 埼玉県で新型コロナウイルス感染で2021年8月下旬に死亡した50代男性が保健所のミスで自宅療養者として認識されず死亡した問題で、県は2021年9月7日、保健所に対して患者情報のデジタル化など事務作業の見直しを指示した。保健所では主に紙資料で患者情報を管理しており、紙の扱いのミスが原因で患者が認識されなかったとしている。

 男性の担当だった春日部保健所では、新型コロナウイルス感染症の患者情報は原本、患者一覧表、患者ごとの個別のチェックリストの3種類の紙資料で管理していた。同保健所の職員は発生届の情報を「新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システム(HER-SYS)」に入力したうえで印刷し、コピーをとって患者一覧表に記入したり患者ごとに紙のチェックリストを作成したりする。紙のチェックリストを基に、患者に連絡したり疫学調査を行ったりする。この男性の場合は、発生届のコピーを紛失したため、チェックリストが作成されなかった。そのため患者として認識されず、フォローアップが行われなかったという。

 患者情報が分かれていたことと、紙の資料で作業しており職員の間で共有できていなかったことが問題として、埼玉県は「今後、情報を一元化する。患者情報をデジタル化してデータベースを作成し、職員が共有して検索したりチェックしたりできるよう指示した」(県担当者)。

 県によると、男性は8月17日に陽性と判明、同18日に春日部保健所管内の医療機関からファクスで発生届が出され、春日部保健所職員がHER-SYSに入力した。その際に、患者が自身の健康状態などをスマートフォンなどから報告する「My HER-SYS」のURLを男性に送信した。男性の住民票があるさいたま市の保健所が19日に電話で男性に状態などを聞き取り、自宅療養となった。この際に男性の居住地を春日部市と確認したため、HER-SYS上で担当を春日部保健所に再度移管したうえで、同20日にさいたま市保健所から春日部保健所にメールで連絡した。

 男性は2021年8月19日~21日にかけてMy HER-SYSを使って息苦しさなどの症状悪化を伝える内容をHER-SYSに記入していたものの、春日部保健所では紙の資料で把握した患者のHER-SYS情報しか確認していないため、気付かなかったという。