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 花王とPreferred Networks(PFN)、順天堂大学は2021年9月21日、皮脂に含まれるRNA(リボ核酸)にパーキンソン病患者に特有の情報が含まれることを発見したと発表した。将来的にはあぶらとりフィルムで顔の皮脂を拭き取るだけで、疾患の早期診断につながる技術の確立を目指す。

皮脂RNA情報の取得と機械学習モデル構築の流れ
皮脂RNA情報の取得と機械学習モデル構築の流れ
(出所:Preferred Networks)
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 花王はヒトの皮脂に含まれるRNAを解析する独自の技術を開発し、2019年にPreferred Networksと共同研究を始めた。今回はパーキンソン病の治療や研究を手掛ける順天堂大学も参加し、早期診断への応用を目指す研究を進めた。

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 健常者とパーキンソン病患者の皮脂をあぶらとりフィルムで採取し、次世代シーケンサーで皮脂RNAの発現量を分析したところ、約4000種類のRNAの情報が得られた。その中でもパーキンソン病患者において大きく変化していた200から400種類のRNAに注目すると、パーキンソン病の病態と密接に関連している複数のRNAが増加している傾向がみられた。

 さらに皮脂RNAや年齢、性別情報を用いて機械学習モデルを構築したところ、皮脂RNAを分析することでパーキンソン病の判別が可能であることが示されたという。研究成果は英科学雑誌「Scientific Reports」のオンライン版に公開された。「今回の成果は医療分野の応用に向けたファーストステージの研究だ」と花王 生物科学研究所 皮脂RNAプロジェクト プロジェクトリーダーの井上高良氏は話す。今後は実用化に向け、症例数を増やして解析する必要がある。診断など医療分野は花王にとって新規の事業領域となる。花王は同社が主体で事業化を進めるかを含めた事業展開の方針を今後検討していく。