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 東芝は、複数の自律型移動ロボットを直接通信でつないで協調連携させるシステムを開発した(図1)。ロボット同士が互いの情報を迅速に共有し、異種ロボット間の相互回避や同種ロボットによる協調搬送を実現する。

図1:移動ロボット間の直接通信による協調イメージ
図1:移動ロボット間の直接通信による協調イメージ
(出所:東芝)
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 新システムでは、運行システムを介さずに移動ロボット同士で直接通信するプロトコルを定めるとともに、ロボット間の通信経路を切り替えて直接通信を遅延なく実行する「無線LANマルチホップ方式」で実装した。これにより、移動ロボット同士が直接、リアルタイムに情報を交換できるようになった。

 同社は、芝浦工業大学が深川江戸資料館(東京・江東)で実施したロボット連携実験に参加し、新システムを搭載した移動ロボットの相互回避を試みた(図2)。その結果、ロボットが互いの位置と進行方向を共有し、スムーズにすれ違えることを確認できた。

図2:異種ロボット間の相互回避の様子
図2:異種ロボット間の相互回避の様子
(出所:東芝)
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 さらに、1つの搬送物を複数台の同種の移動ロボットがタイミングを合わせながら搬送できることも確認した(図3)。遅延が10m秒と少ない直接通信により、協調搬送を実現する。ロボットを追加すれば、さまざまな大きさ・質量の積載物を運べる。

図3:同種ロボットによる協調搬送の様子
図3:同種ロボットによる協調搬送の様子
(出所:東芝)
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 一般に製造・物流現場では、同一メーカー・種類の移動ロボットを複数使い、全体の運行を上位システムで管理している。メーカーごとに独自の運行システムを構築しており、メーカー・種類の異なる移動ロボットが混在するとロボット同士で情報を共有できず、通路上で立ち往生したり狭い範囲に密集したりするからだ。

 そこで同社は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と共同で、メーカー・種類の異なる複数の移動ロボットを共通の運行システムで運用するインターフェース「AMR-IF」(Autonomous Mobile Robot Interface)を策定。20年3月にサンプルソフトを公開した他、ロボット革命・産業IoTイニシアティブ協議会(RRI)のロボットイノベーションワーキンググループにも参画し、同インターフェースの標準化を進めてきた。

 しかし、共通の運行システムを採用しても通信が遅延・中断する恐れがある。そのため、人間同士が声かけやアイコンタクトなどで臨機応変に対応するのと同様に、移動ロボット同士が臨機応変に連携できる技術が求められていたという。

 RRIは現在、ロボットのソフトウエア・アーキテクチャーの仕様策定を進めている。同社は、引き続き移動ロボットの仕様の標準化を図るとともに、RRIの活動などを通じて国際標準化を目指す。

 今回の成果の一部は、NEDOの助成事業「自動走行ロボットを活用した新たな配送サービス実現に向けた技術開発事業 」(JPNP20018)や、芝浦工業大学工学部機械機能工学科の松日楽研究室との共同研究による。