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 NECは、組立・検査工程のカメラ映像から作業員の動きを検出・分析して生産性向上を図るシステム「工場付加価値時間計測ソリューション」の提供を開始した。作業員の手や体の位置を基に、工程における付加価値時間を自動的に計測。ムダ時間の定量化やボトルネックの把握により、工程の改善につなげる()。

図 「工場付加価値時間計測ソリューション」のイメージ
図 「工場付加価値時間計測ソリューション」のイメージ
映像から作業員の手や体を検出して、作業エリア別の稼働状況を数値化・グラフ化する。(出所:NEC)
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* NECのニュースリリース

 同システムは、工場内に設置したIPカメラやLANスイッチ、動作検出結果と映像ログを保存する解析用サーバー、Webブラウザー経由で各種設定・推論を実行したり分析結果を確認したりするためのクライアントパソコンなどから成る。カメラで映像を取得し、作業員の手や体の動きを自動で検出。検出した時間を組立・検査工程における付加価値時間に換算して計測する。

 付加価値時間と任意に設置した閾値に基づいた停止回数を一覧で表示するダッシュボード機能を備える。これにより、生産ラインの状況を数値ベースで捉えられる。

 工程の作業状況をグラフ表示する機能によって、工程間の関連性やボトルネックになっている工程の分析も可能だ。例えば生産技術部門では、作業の遅延やミスによるボトルネックを可視化でき、作業手順の改善や設備・環境改善、ライン設計の見直し、フロアレイアウトや全体プロセスの改善といった対策を取れる。製造部門では、工程・作業ごとの付加価値時間を測定し、人員配置の最適化や作業指導に向けた検討材料として活用できる。

手や人に特化した学習モデルを用意

 同システムでは、手や人などに特化した映像分析用の学習モデルを採用し、分析処理にかかる負荷を軽減した。そのため、汎用的なCPUを搭載した小型の機器での分析が可能。システムの構築や設置場所ごとの詳細な設定も要らないので、安価かつ短期間で導入できるとしている。従来は、映像を分析する際にGPU(Graphics Processing Unit)を搭載したパソコンなどが必要だった。

 同システムの発売に合わせてNECは、ユーザーの製品やサービスとNECの技術を組み合わせてビジネスの創出を目指す取り組み「NEC共創コミュニティ for Partner」に、新たに「NEC共創コミュニティ for Industrial Technology」を追加した。今後、同システムで取得したデータと設備側で取得できるログを組み合わせた技術支援や技術実証を実現させる。

 新たな取り組みには、パトライト(大阪市)やデンソーウェーブ(愛知県・阿久比町)が参加する。既にパトライトとは、作業者に負荷をかけずボトルネックを明らかにする「製造現場可視化ソリューション」を開発。工場付加価値時間計測ソリューションとパトライトのワイヤレス・データ通信システム「AirGRID WD」を連携させて、従来は難しかった手作業領域におけるボトルネックを可視化しやすくした。

 工場付加価値時間計測ソリューションの1年間のライセンス価格は70万円(税別、以下同)。6カ月に1度のメジャーアップデートを組み込んだライセンスモデルを提供するため、常に最新の映像解析技術を利用できる。動作検証済み機器として、IPカメラはスウェーデンAXIS Communications製の「M3065-V Network Camera」を、LANスイッチはNEC製の「QX-S3416FT-4G-PW」を、解析用サーバーはNECプラットフォームズ(東京・千代田)製の「コンパクトボックス型コントローラ」シリーズを推奨している。