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 米MathWorks(マスワークス)は2021年10月6日、トヨタ自動車が量産開発に適用しているモデルベース開発(MBD)向けツール「MATLAB」のバージョンを「R2015a」から「R2021a」に移行すると発表した。

 これまでトヨタはECU(電子制御ユニット)の量産ソフトウエアの開発にマスワークスのモデリングツールやシミュレーションツール、Cコード自動生成ツールを利用してきた。ただ、MBDの普及に伴い、R2015aでは大きく3つの課題が浮上したという。

 (1)各工程にMBDを取り入れているが、検証工程や工程間のつなぎで手作業が発生しており、一気通貫での自動化を実現することが急務である。(2)運用しているモデル資産の増大により、バージョンアップにかかるモデルやツールの検証工数が増大している。(3)自動車開発におけるソフト開発の比重は急激に大きくなってきており、古いバージョンを使用し続けることで最新の技術を迅速に取り入れることが難しく、開発競争力に影響する。

 トヨタはマスワークスとの協業により、MATLABのバージョンアップを計画的に実施するスキームを確立する。R2021aをスタートとして、今後は従来よりも短期間、かつ検証工数を減らしてバージョンアップを継続する体制を整える。

 具体的には、(a)「Simulink」モデルのガイドラインを大幅に見直すことにより、将来のMATLABバージョンアップ時の機能拡張に対応する。(b)これまで使用してきた、トヨタが独自にカスタマイズした機能を大幅に削減し、製品の標準機能を最大限に活用する。(c)R2021aで進化した「Simulink Design Verifier」などの設計検証製品を活用し、Simulinkモデルと「Embedded Coder」生成コードの検証の自動化を推進する。

 トヨタ自動車パワトレ電子システム開発部部長の森英男氏は「R2021aの採用を機に、既存のモデル資産を有効活用しながらも、将来のMATLABバージョンアップコストを限りなく抑えつつ、MBDの各工程を一気通貫で自動化するフェーズに移行していく」とコメントした。

 マスワークスの開発部門バイスプレジデントであるAndy Grace氏は「我々は25年以上にわたりトヨタとの緊密な関係を築いてきた。トヨタが量産用の高品質なソフト開発において、マスワークス製品の最新機能を最大限に活用し、定期的なMATLABバージョンアップの仕組みを構築することをうれしく思う」と述べた。