デジタル技術を活用した作業習熟や設備メンテナンスのサポートも進めた。作業習熟では複合現実(MR)技術を活用したシステムを開発。設備メンテナンスではIoT(Internet of Things)ネットワークを活用し、集中管理室から現場に最適な復旧方法を指示する仕組みを導入した。これにより、設備故障の復旧時間を30%削減できる。

工場内の設備の状況を把握する集中管理室
工場内の設備の状況を把握する集中管理室
集中管理室から現場に最適な復旧方法をリモートで指示する。(出所:日経クロステック)
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 カーボンニュートラル対応としては、自動車とボディーとバンパーの一体塗装設備を「世界で初めて実現した」(同社)。従来は、鋼やアルミニウム合金でできたボディーとプラスチック製バンパーは別々に塗装していた。塗装・焼き付けの温度が、ボディーは140℃、バンパーは85℃と異なっていたためだ。

 これに対し、NIFで導入した新塗装ラインでは、85℃で硬化する水系塗料を独自に開発。ボディーにバンパーを取り付けた状態で塗装できるようにした。これにより、使用エネルギーを25%削減しつつ、ボディーとバンパーの色合わせも容易になって品質向上を実現しているという。

ボディーとバンパーの一体塗装設備
ボディーとバンパーの一体塗装設備
85℃で硬化する水系塗料を独自に開発し、使用エネルギーを25%削減した。(出所:日経クロステック)
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 同社は生産でのカーボンニュートラルを実現するため、2050年までに生産設備を全て電動化し、かつ電力を再生可能エネルギー、もしくは燃料電池で発電したものに転換する考えだ。鋳造工程などでの鋼やアルミ合金の溶解も電化し、圧縮空気や蒸気の利用もなくす。まずは30年までに二酸化炭素(CO2)排出量を41%削減し、50年にはCO2排出量をゼロにする計画である。

 現時点では栃木工場のNIFでアリアしか生産していない。だが、今後、新型車の投入時などに栃木工場のNIFで生産する車種を拡大するだけでなく、「世界中の全工場に展開していく」(同社)考え。ただし、パワートレーン一括搭載システムや一体塗装設備などを導入する際には、既存の工場を大幅に変える必要がある。実は、栃木工場ではNIF導入に当たって工場建屋などを新設している。稼働中の工場にNIFをどう導入していくのかは課題となりそうだ。