PR

 米Intel(インテル)は、機械学習を備えた脳型(neuromorphic)演算ICの第2世代版「Loihi 2」と、脳型演算に向けたオープンソースのソフトウエアフレームワーク「Lava」を2021年9月30日(現地時間)に発表した ニュースリリース 。Loihi 2は同社初のEUV(超短波長光)露光を使う半導体プロセス技術「Intel 4」の量産前バージョンで製造しており、製造技術の進展もアピールした格好である。

学習機能を備えた脳型演算ICの第2世代版「Loihi 2」
学習機能を備えた脳型演算ICの第2世代版「Loihi 2」
(出所:Intel)
[画像のクリックで拡大表示]

 同社は、初代の「Loihi」を2017年9月に発表している*1。スパイキング・ニューラル・ネットワーク(SNN)ベースの脳型演算ICで*2、学習と推論の両方に適用できるとする。14nm世代のプロセス技術で製造し、12万8000ニューロンを集積している。一方、Loihi 2はIntel 4*3を量産前段階の状態で試験的に利用し、最大100万ニューロンを集積できるという。コア数はどちらも128。ただし、コアの面積や1コアに集積するニューロン数は異なる。Loihiが0.41mm2のコアに1024ニューロンを集積しているのに対して、Loihi 2は0.2mm2のコアに8192ニューロンを集積する。「ニューロンの集積密度は約15倍になった」(同社)。

関連記事 *1 自律的に動作する自己学習型プロセッサー「Loihi」、米インテルが開発 *2 これぞ「脳」の実力の片鱗?、DNNからSNNへ *3 Intel CEOが先端プロセスで決意 24年に追い付き、25年に抜く
「Loihi」と「Loihi 2」の主な仕様
「Loihi」と「Loihi 2」の主な仕様
(出所:Intel)
[画像のクリックで拡大表示]

 ニューロンの集積密度が上がっただけでなく、Loihi 2にはさまざまな研究機関がLoihiを使って行った研究からの知見を盛り込んだ。これによって、処理速度やプログラマビリティー、通信機能がLoihiに比べて大幅に向上したとする。例えば、処理速度は10倍になったという。Loihi 2では、ディープラーニングの学習手法である誤差逆伝播法のさまざまなバリエーションに対応できる。また、Loihi 2では精度を損なうことなく、Loihiに比べて推論当たりの演算数を60分の1以下に削減できることを確認した。通信機能を高めるため、Loihi 2はEthernetなどの入出力インターフェースを持つ。さらに、複数のLoihi 2によるメッシュネットワーク構成も可能にした。

 今回同時に発表したソフトウエアフレームワークのLavaは、Loihi 2などの脳型演算ICだけでなく既存の一般的なプロセッサーICでも稼働するため、脳型演算のアプリケーション開発を容易にするという。例えば、脳型演算ICと一般的なプロセッサーIC間でアプリケーションの移植が容易になるとする。

 Intelは、2種類のLoihi 2ベースの開発ボードを用意する。1つは「Oheo Gulch」と呼ぶボードで、Loihi 2を1個搭載する。Oheo Gulchには、Loihi 2に加えて同社のFPGA「Arria 10」が搭載されており、Ethernet経由でLoihi 2にリモートアクセス可能である。もう1つの開発ボードは「Kapoho Point」と呼び、8個のLoihi 2を搭載する。約4インチ×4インチの大きさで、Ethernet経由でアクセスできる。複数のKapoho Pointをスタックして大規模なシステムを構成可能だという。ソフトウエアフレームワークのLavaはGitHub https://github.com/lava-nc 経由で無償公開中である。なお、Intelは21年10月27日と28日(米国時間)にオンライン開催の開発者向けプライベートイベント「Intel Innovation」でLoihi 2やLavaの詳細を説明する予定。

開発ボードの「Oheo Gulch」
開発ボードの「Oheo Gulch」
(出所:Intel)
[画像のクリックで拡大表示]
開発ボードの「Kapoho Point」
開発ボードの「Kapoho Point」
(出所:Intel)
[画像のクリックで拡大表示]