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 トヨタ自動車は、産業技術総合研究所および豊田中央研究所と、エネルギー・環境領域における先端技術の開発加速と実用化に向けた共同研究を行う検討を開始した。具体的には、(1)カーボンニュートラル(炭素中立)を実現するためのエネルギーシナリオの構築、(2)カーボンニュートラルと経済合理性を両立する街のエネルギーネットワークの構築、(3)車載用高効率太陽光発電システムの開発、(4)水素を「作る、運ぶ、使う」ための要素技術の開発――の4項目について共同研究を検討する。

 (1)では、将来のエネルギー関連技術の動向や、エネルギー環境政策などの社会情勢の変化が、エネルギーの活用システムに与える影響を分析。それに基づいて、クリーンエネルギーの消費見込み、新技術の導入、環境への負荷、コストなどに関わる、カーボンニュートラル実現のためのエネルギーシナリオの構築を想定する。影響分析には、産総研が開発したエネルギーモデルを用いる。

 (2)は、カーボンニュートラルかつコストミニマムな街に最適なエネルギー構成や、自動車開発で培った電動化技術を通じた良品廉価なエネルギーインフラの提案を見据えたもの。再生可能エネルギーの活用を念頭に置く。

 (3)においては、太陽光発電システムを搭載した電動車両の普及が目標()。そのために、太陽電池や太陽光発電システムの変換効率向上と低コスト化に向けた共同研究の実施を検討する。

図 太陽電池を搭載した電動車の例
図 太陽電池を搭載した電動車の例
トヨタは、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、シャープと共同で、2019年7月から太陽電池を搭載した電動車の公道走行実証を実施している。この車両はそのときに使った「プリウスPHV」をベースとする実証車。(出所:トヨタ自動車)
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 (4)については、水素社会の実現に向けて、「水素を生成する技術」「安全に低コストで運ぶ技術(水素キャリア)」「水素をエネルギーとして使う技術」におけるさまざまな課題を解決するための要素技術の開発を念頭に置く。

 トヨタなど3者は、カーボンニュートラル実現の鍵を握るのはエネルギーの選択と活用方法とする。今回検討を始めた共同研究を通じて、「どのようなエネルギーを、誰が、どこで、どのくらい、どのように使うか」について生活者や企業の視点から幅広く検証し、エネルギーに関する選択肢を提供するとともに将来の社会実装を目指す考えだ。