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 ヤンマーホールディングスは、グループ会社のヤンマーパワーテクノロジー(大阪市)が70MPaと高圧の水素を使って船舶を走らせる実験を実施したと2021年10月13日に発表した(図1)。水素燃料電池システムを搭載した実証試験艇に高圧水素を充填(てん)し、大阪湾の関西万博(2025年日本国際博覧会)会場予定地と大阪市内沿岸部の観光地を結ぶ航路で航行させた。「これまでの充填方式と比べて航続時間が3倍以上になって、より実運用に近い航行が可能であると確認した」(ヤンマーホールディングス)。

図1 大阪湾を航行する水素燃料電池試験艇
図1 大阪湾を航行する水素燃料電池試験艇
(出所:ヤンマーホールディングス)
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 高圧の水素を充填する設備は豊田通商と共同で試作(図2)。長尺の水素充填ホースも製作した(図3)。実証実験で得られた知見は、今後の水素燃料電池システムの実用化と舶用水素インフラの検討に活用するという。

図2 70MPaの高圧水素を充填する設備(出所:ヤンマーホールディングス)
図2 70MPaの高圧水素を充填する設備(出所:ヤンマーホールディングス)
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図3 船体に接続した水素充填ホース(出所:ヤンマーホールディングス)
図3 船体に接続した水素充填ホース(出所:ヤンマーホールディングス)
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 ヤンマーパワーテクノロジーはトヨタ自動車製の燃料電池モジュールを利用して、300kW級の舶用燃料電池システムを開発中。今後はさまざまな船種へ搭載できるように船級協会の型式承認を取得し、2023年の市場投入を目指す。