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 世界最大のファウンドリー(半導体受託生産会社)である台湾TSMC(台湾積体電路製造)は、2021年10月14日に開催した21年第3四半期(7~9月)の決算発表会で、日本に新工場を建設することを表明した。22年に着工し、24年から生産を開始する計画だ。22nmと28nmプロセスの半導体を生産する。

 工場の建設地や合弁会社(JV)の設立などについては具体的に言及しなかった。発表会での「海外工場を建設する際に、現地の政府とJVを設立することを検討しているか」との質問には、「通常、海外工場は我々が100%所有し、現地政府とJVを設立するということはない。ただし、重要な顧客や他の企業とのJV設立についてはケース・バイ・ケースで検討する」(TSMC)と回答した。TSMCによる日本新工場建設については日本経済新聞などが、ソニーグループらが参画し、熊本県に建設すると報じている。

 半導体不足については、最高経営責任者(CEO)の魏哲家氏が「21年内のみならず、22年にかけても生産能力が逼迫(ひっぱく)した状況が続くだろう」と発言した。一方、自動車用半導体に関しては「同市場においてTSMCで製造している半導体の世界シェアは15%だ。自動車向け半導体のサプライチェーンは東南アジアでのCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)のまん延などの悪影響も受けた。しかし、サプライチェーンの問題を解決するために努力してきた結果、21年第3四半期にはウエハーレベルでの不足が劇的に解消された。従って、自動車メーカーにおける半導体不足はあと数四半期がたてば解消されると予想している」(同氏)とした。

 同社の21年第3四半期の決算は、半導体の世界的に旺盛な需要によって好調だった。売上高は4147億台湾ドル(約1兆6700億円)と前年同期比で16.3%増、純利益は1563億台湾ドル(約6300億円)と13.8%増だった。売上総利益は51.3%と50%を超えている。

 製造プロセスごとの売り上げでは、5nmが全体の18%、7nmが34%と先端半導体のシェアが過半となっている。製品別では、スマートフォン向けが44%、サーバーやPCを含むHPC(ハイパフォーマンス コンピューティング)が37%、IoTが9%、自動車が4%となっている。

製造プロセスごとの売上に対するシェア
製造プロセスごとの売上に対するシェア
(図:TSMC)
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 なお、次世代の3nmプロセス「N3」製品の生産開始は従来通り、22年後半としている。