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 NTTドコモは2021年10月15日午後に会見を開き、前日14日に発生した通信障害の経緯と原因を説明した。15日午後2時時点でなお3G回線に通信しにくい影響が残っており復旧に努めている。田村穂積副社長は「ご迷惑をおかけしたお客様におわび申し上げます」と謝罪した。再発防止策は2021年10月下旬に完了するとした。

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 同社の説明によれば、障害発生の発端は、タクシーの決済や自動販売機などIoT(インターネット・オブ・シングズ)回線サービスで使っている「加入者/位置情報サーバー」の旧設備から新設備への切り替え工事である。

 10月14日午前0時ごろから工事を始めたが、切り替えた新サーバーに不具合が生じたため、同日午前7時26分に従来サーバーに切り戻した。午後4時36分には、IoT機器に対して切り戻した従来サーバーに位置登録を促す措置を実施した。

通信障害に関する出来事の時系列
通信障害に関する出来事の時系列
(出所:NTTドコモ)
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 ここでIoT機器が想定を超える量の位置登録信号を送信したことでサーバーが輻輳(ふくそう)し、位置登録信号の再送によって午後5時ごろから交換機などドコモのネットワークでも輻輳が生じた。

通信障害が起こった概要
通信障害が起こった概要
(出所:NTTドコモ)
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 通信しにくい事態を受けて、午後5時37分からは全国で全ての位置登録信号を抑制するようにし、午後7時57分に完了した。しかしその後も、利用者からの音声通話やデータ通信のトラフィックが急増し、4Gや5G回線については15日午前5時ごろまで通信しにくい状況が続いた。

 NTTドコモは約8000万加入者のうち、端末の位置情報が更新できずに通信障害が生じたなど直接的な影響を被ったのは約200万加入者だったとしている。ただ、この数字にはその後の通信しにくい状況などの影響は含まれていないとみられる。輻輳が発生した時間帯の音声通話は前週比で15%少なかったといい、影響を受けた利用者はさらに増えるもようだ。

 再発防止策としては2点挙げた。ネットワーク工事などにおいて(1)通常運用と異なる状態になる工事や運用などでは処理能力を再確認する、(2)確認した処理能力を踏まえた適切な切り替えへと手順を見直す、である。2021年10月下旬に完了するとした。