野村総合研究所(NRI)は2021年10月18日、コロナ禍が収束した場合の生活者の消費価値観や生活行動を把握することを目的にした大規模インターネット調査「日常生活に関する調査」の結果を発表した。コロナ禍以前の生活状態に完全には戻らないとみている回答者は75%で、理由として「オンライン化・デジタル化が浸透した今の生活様式に慣れた」が20%近くあったことが分かった。
この大規模インターネット調査は2021年7月から8月にかけて、全国の15~69歳の男女個人、1万8800人を対象に実施した。調査の中で、コロナ禍後の生活全体の状況を尋ねたところ「コロナ禍以前の生活に完全に戻る」と回答した人は25%にとどまった。
コロナ禍以前の生活に完全には戻らないと考えている75%の回答者に自由回答の形式で理由を尋ねた。その回答を分析したところ、「(新型コロナウイルスが)完全に収束するとは思えないから」が41.1%で最多だった。
次いで多かったのが、コロナ禍をきっかけにテレワークが進んだり、オンライン化やデジタル化で無駄を排除した生活様式に慣れたりしたことを理由として挙げたケースで、18.4%になった。この結果についてNRIは「コロナ禍で半ば強制された行動変容、すなわち生活のデジタル化によって意識や価値観も変わってしまった」とみる。さらに「生活者の意識が変わったことなどを企業経営者はビジネスチャンスと捉えて、新需要獲得のためにもDX(デジタルトランスフォーメーション)を加速させる必要がある」と指摘する。
調査ではこの他、外食、国内旅行、映画館での映画鑑賞、アウトドアレジャーといった活動について、コロナ禍が完全に収束したと想定した際の支出意向も尋ねている。すると「コロナ禍以前の水準よりもさらに多くする」と回答したのはどの活動でも1割未満といった結果が出た。NRIは「(外出自粛などで我慢した反動による)リベンジ消費による経済活性化は限定的とみてよさそうだ」とする。