「世界にある200の工場で、2035年までにクレジット無し(二酸化炭素の排出枠を外部から購入しない)のカーボンニュートラルを目指す」――。こう宣言したのは、デンソー経営役員でCTO(最高技術責任者)の加藤良文氏だ()。2021年10月19日にオンライン展示会「CEATEC 2021 ONLINE」で講演し、同社の環境戦略を語った。

図 デンソー経営役員CTOの加藤良文氏
図 デンソー経営役員CTOの加藤良文氏
(オンライン講演の画面をキャプチャー)
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 デンソーは「モノづくり」「モビリティ製品」「エネルギー利用」の3領域で取り組みを進め、35年までにカーボンニュートラルを実現する方針である。

 1つめのモノづくりに関しては、工場から排出される二酸化炭素(CO2)をゼロにすることを目指す。取り組みの1つとして加藤氏が挙げたのが、生産時のエネルギー損失の低減である。「生産に寄与しない時間に設備を止め、設備が止まるときはエネルギーを回生するといった、クルマの省エネ技術を使った設備の開発・導入を進めている」(同氏)と明かした。

 工場内でのエネルギー使用量を減らす手段として、量子コンピューターの活用も視野に入れる。工場の無人搬送車(AGV)の走行経路最適化を、東北大学と共同で検討した。結果、AGVの稼働率を80%から95%に高められる見通しがついたという。今後はAGVだけでなく、工場全体や物流網など、幅広い用途に量子コンピューターを適用していくという。

 2つめのモビリティ製品では、車載電池の2次利用に向けた取り組みを強化する。車両に搭載して劣化した中古電池を再利用する際に重要になるのが、製造や充放電の履歴、劣化などの情報を提供する「電池トレーサビリティー」と、電池の製造時に排出するCO2情報を提供する「カーボンフットプリント」の2点である。

 電池トレーサビリティーやカーボンフットプリントの課題は、情報を改ざんされない仕組みを構築すること。デンソーは、ブロックチェーン技術を活用することで、サプライチェーン間で伝達される電池情報の改ざんを防止する。こうした仕組みを使いやすくする工夫として、「特殊なQRコードを開発した」(同氏)。電池にブロックチェーン情報を埋め込んだQRコードを貼り付けて管理する。

 3つめのエネルギー利用では、CO2を回収・再利用する技術の確立を急ぐ。工場が排出するCO2を回収してメタンガスを生成し、再び燃料として使う。デンソーの安城製作所(愛知県安城市)の電動開発センター内に「CO2循環プラント」を建設済みだ。