ホンダは2021年10月21日、スマートフォンやパソコンを充電できるモバイルバッテリー(携帯電池)から電動アシスト自転車に電力供給できる後付け装置を開発したと発表した。シェアサイクルを利用する際の電池切れを防ぎ、ユーザーの利便性を向上する。将来はホンダが力を注ぎ始めたモビリティーサービスとの連携を想定する。
22年中にシェアサイクル事業者と実証実験をして、事業化を目指す。ホンダによると、都市部を中心にシェアサイクルが普及しつつあるが、電動アシスト自転車の充電不足で「ユーザーが乗れない」という不便が多く発生している。開発装置を電動アシスト自転車に取り付ければ、ユーザーの携帯電池を利用することで、充電不足を気にすることなくシェア自転車を使える。
対応する携帯電池は当面、ホンダが用意する専用品となる。主な仕様は出力45W、容量1万5000mAh、質量300g以下。インターフェースはUSB「Type-C」で、パソコンやスマートフォンなどを充電できる。ただし、いずれは広く流通している携帯電池に対応したい考え。現状の市販品は出力が低いものが大半で、高出力品の普及に合わせて検討する方針である。
シェアサイクル事業者の利点も大きい。ユーザーが携帯電池を利用すれば、運営費の多くを占める本体電池の充電作業を減らせるからだ。後付け装置のコスト次第だが、収益改善に寄与する。
開発装置の主な構成は、DC-DCコンバーターと電池ホルダー、配線である。携帯電池の電圧をDC-DCコンバーターで昇圧し、電動アシスト自転車のモーターに電力供給する。
大きく3種類の動作モードがある。(1)坂道を上るときのような高出力モードでは、携帯電池と本体の電池の両方からモーターに電力を供給する。(2)平たんな道を走る低出力モードでは、携帯電池だけから電力供給する。(3)停止時は携帯電池から本体の電池を充電する。