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 出光興産は、木質ペレットを加熱して半炭化した「ブラックペレット」事業を強化し、2030年までに年200万トンを供給可能な体制を整える。まずは年12万トンの生産能力を持つ商業製造プラントをベトナムに建設し、22年上期の稼働を目指す。21年10月21日に発表した。

 ブラックペレットは炭素中立の燃料とされ、主にカーボンニュートラル(温暖化ガスの排出量実質ゼロ)対応を急ぐ日本の事業者に供給する。石炭に最大35%で混焼可能。既存の燃焼設備を使いながら混ぜた分だけ脱炭素に貢献できる。技術的にはブラックペレットのみでの専焼も視野に入り「設備をいくつか改良すれば専焼に切り替えられる」(同社)という。

 同社は「出光グリーンエナジーペレット」の名称でブラックペレットを供給していく。発熱量が4300k~5500kcal/kgと大きいのが特徴で、木質チップの1600k~2800kcal/kg、木質部を主体とする「ホワイトペレット」の同3600k~4000kcal/kgと比べて燃焼時のボイラー効率を向上できる。さらに、粉砕しやすく耐水性も高いことから扱いやすい燃料といえる。

 ブラックペレットの製造は、木材端材と製材屑(くず)からホワイトペレットをつくる工程からはじまる。成形したホワイトペレットをロータリーキルンという回転式の窯で加熱する。加熱時の温度は250~300度で、窯の内部は無酸素状態にする。出来上がるブラックペレットの他にも乾留ガスが発生するが、これは加熱用の燃料として利用できる。

出光興産
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(撮影:日経クロステック)
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