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 東レは2021年10月20日、透明導電膜向け感光性導電材料「RAYBRID」について用途を広げる2つの技術を開発したと発表した。RAYBRIDで作製したメッシュ状の配線のシート抵抗値を同社比で1/8に低減する技術と、その配線を使う透明導電膜の外光反射率を「業界最高水準」(同社)の0.1%以下にする「黒化技術」。シート抵抗値が低ければその分、導電膜の大型化や、非接触タッチパネルの高感度化が可能になる。超低反射率は特に欧州の車載タッチパネルの顧客から要望が強いという。

東レのAgナノペースト「RAYBRID」とそれを利用した透明導電膜までの製造プロセスの概要
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東レのAgナノペースト「RAYBRID」とそれを利用した透明導電膜までの製造プロセスの概要
(図:東レ)

 2022年度中にも少量から生産を始め、車載用タッチパネル向け事業を始める。その他にも、車載向け透明ヒーター、5G向け透明アンテナ、液晶ディスプレーや有機ELディスプレーの透明導電膜など幅広い用途への応用を見込んでいるという。

表面修飾技術の改善で低抵抗に

 RAYBRIDは、いわゆる銀(Ag)ナノペースト。Ag粒子を有機材料で表面修飾するなどして凝集を防ぎ、基板に積層してパターニングをする。その後、「キュア」と同社が呼ぶ加熱工程で有機材料の一部を飛ばし、Ag粒子同士を融合させて導通させる。

 特徴は、この材料が感光性を備えること。銅(Cu)などを使った金属メッシュ型透明導電膜では一般に多段階のリソグラフィー技術を経てメッシュのパターニングをする。これに対してRAYBRIDの場合は、自ら感光性を備えることでそのプロセスを一部省略できるという。

配線形成のプロセスを大幅に短縮
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配線形成のプロセスを大幅に短縮
(図:東レ)

 東レはRAYBRIDを既に2019年から量産しているが、今回はAg粒子の表面制御技術を改善し、キュア後の導電性を大きく高めたとする。結果、透明導電膜の光透過率が同じ値、例えば90%のときに、シート抵抗値が16Ω/□から2Ω/□へと1/8に低減した。このシート抵抗値は、一般的なCuメタルメッシュ透明導電膜に肩を並べる水準で、「5G向け透明アンテナにも使えるとみている」(東レ)。

高い光透過率は保ちながら、シート抵抗率を大幅に低減
光透過率90%でシート抵抗は16Ω/□から2Ω/□に
光透過率90%でシート抵抗は16Ω/□から2Ω/□に
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Ag粒子の表面修飾技術を改善し、焼成(キュア)後の導電性を向上
Ag粒子の表面修飾技術を改善し、焼成(キュア)後の導電性を向上
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(図:東レ)