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 JFEスチールは2021年10月22日、同社が開発した高張力鋼板の冷間プレス材がトヨタ自動車の新型「レクサスNX」に採用されたと発表した(図1)。採用品の引っ張り強さは1.5GPa(1470MPa)級で、ホットスタンプ(高張力鋼板の熱間プレス材)に匹敵する性能を実現した。

図1 トヨタ自動車の新型SUV(多目的スポーツ車)「レクサスNX」
図1 トヨタ自動車の新型SUV(多目的スポーツ車)「レクサスNX」
次世代レクサスの第1弾と位置付ける車両である。(写真:トヨタ自動車)
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 開発した冷間プレス材は、天井部の補強部材である「ルーフセンターリンフォース」に使われている。トヨタによると、同材料を使うことで従来構造比で0.3kgの軽量化を達成できたという。

 冷間プレス材は、プレス成形後の反り(スプリングバック)が大きくなりやすく、高い寸法精度を出すのが難しかった。JFEスチールは今回、スプリングバックを抑制する成形工法「ストレスリバース工法」を開発し、トヨタからの受注につなげた。JFEスチールが同工法を製品に適用するのは今回が初めて。

 一般的に、プレス成形時に材料に残る応力が小さいと、スプリングバックは小さくなる。JFEスチールはこの点に着目。バウシンガー効果と呼ばれる変形の方向を逆にした直後の変形応力は小さくなるという鋼板特性を生かし、プレス成形時に材料に残る応力を低減させた(図2)。

図2 ストレスリバース工法を適用したルーフセンターリンフォース
図2 ストレスリバース工法を適用したルーフセンターリンフォース
1.5GPa級の引っ張り強さを実現した。(写真:JFEスチール)
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 1.5GPa級の冷間プレス材を採用した日系自動車メーカーの乗用車の例としては、日産自動車の小型車「ノートe-POWER」がある。ボディー骨格に適用した。日産が1.5GPa級の冷間プレス材を使うのは、同車両が初めてという。強度が高くなると成形性が悪くなるという冷間プレス材の課題を克服し、新型車に適用する日本メーカーが増えてきた。