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 日本電産が2022年3月期第2四半期の連結決算を発表した()。上期としては、売上高が9106億6800万円(前年同期比21.1%増)と過去最高を記録し、営業利益も901億9600万円(同30.4%増)と増収増益だった。

図 オンラインによる決算説明会に登場した日本電産代表取締役会長の永守重信氏
図 オンラインによる決算説明会に登場した日本電産代表取締役会長の永守重信氏
同説明会のストリーミング画面からキャプチャーした。
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 だが一方で、第2四半期の3カ月間では、東南アジアにおけるコロナウイルスの感染拡大から大きな影響を受けた。とりわけ影響が大きかったのが中国やフィリピンから工場を移転しベトナムに多くの工場を集めた精密小型モーターの事業である。長期ロックダウンによる売り上げの減少と、生産地を中国やフィリピンに戻すなどの一時的な対応のための費用など、約85億円の損失が発生した。車載関連の事業でも、東南アジアにおけるコロナウイルスの感染拡大によって約25億円の損失が生じており、グループ全体の同損失は111億円に上るという。

 もっとも、ベトナムの工場の操業率は10月に入ってからは70~80%に回復してきており、構造的な問題ではないことから、第3四半期からの挽回で通期の目標の達成を目指す。ちなみに、22年3月期通期の予測は、上期としての業績が好調だったことから、売上高は1兆8000億円(期初予想の1000億円増)、営業利益は1900億円(同100億円増)と上方修正している。

 同社代表取締役会長の永守重信氏は、今回の決算説明会で、電気自動車(EV)用の駆動モーター事業に関する今後の戦略も紹介した。同氏によれば、EVメーカーには現在、駆動モーターの内製にこだわる「タイプA」、駆動モーターの内製にはこだわらずモーターメーカーと合弁会社を設立したりアライアンスを組んだりする「タイプB」、駆動モーターは外部から調達する「タイプC」が存在する。同氏は、25年を分水嶺に、タイプAではモーターの外部調達の動きが著しく顕在化し、タイプBではモーターメーカーとの合弁会社設立やアライアンスの締結の動きがさらに活発化するとみる。さらに30年には、あらゆるEVメーカーがモーターなどのEVの主要部品を外部から調達するグローバル水平分業が活況の時代になると予想する。

 そんな予測の背後にあるのが、「これからのEVは明らかな価格競争になっていく」との永守氏の見立てだ。中国では50万円以下の小型EVが売れているが、永守氏によれば、その後も100万円以下、50万円以下のEVの開発が急ピッチに進められている。欧州でも小型EVの開発が進んでおり、100万円前後のものがこれからどんどん出てくるという。「今のクルマは完全に過剰品質であり、シンプルにして性能の良いものを安くしていけば、クルマを買えなかった人々が買えるようになる」との見方から、EVは価格競争になっていくと読む。

 そして、EVメーカーはそうした価格競争に打ち勝っていくには、モーターなどの主要部品のコストを下げる必要が出てくる。内製では立ちゆかないタイプAやタイプBのEVメーカーで、上記のような動きが出てくる。日本電産では、駆動モーターの価格競争力を高めるために、駆動モーターの主要部品を内製化するとともに、駆動モーターの生産や検査に使う主要設備の内製化も進めている。必要なものに投資し、必要な人材を教育し、必要な会社があれば買収することで、25年以降の駆動モーターの需要増に応えられる価格競争力のある供給体制を整えていくという。

 同社では、同社のEV用駆動モーターの販売台数を、25年に350万台、30年に1000万台と予測している。25年の予測はかつての280万台から70万台上乗せの予測に更新されている。