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 日本航空(JAL)が2021年11月2日、国内線の運賃体系の抜本的な見直しを検討していることを認めた。同社は旅客系基幹システムを2017年11月にメインフレームからスペインのAmadeus IT Group(アマデウスITグループ)が運営するクラウドサービス「Altea」へ移行・刷新した際、国内線で刷新以前と同様の運賃体系を維持するため独自のカスタマイズを施した経緯がある。世界の航空会社と同様のシンプルな運賃体系とすることで、クラウドサービスの大規模カスタマイズといういびつな状態の縮小・撤廃につながるとみられ、独自カスタマイズ部分のシステム運用・保守費用の低減も図れそうだ。

決算会見で国内線の運賃体系の見直し方針を明らかにした、日本航空(JAL)の菊山英樹専務執行役員
決算会見で国内線の運賃体系の見直し方針を明らかにした、日本航空(JAL)の菊山英樹専務執行役員
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 同社の菊山英樹専務執行役員が2021年11月2日の決算会見で、日経クロステックの質問に対し「(運賃体系を)シンプルにして、国際線(の運賃体系)に近づけていくという方向感。正式発表はしていないが、次(2022年)の春くらいにいろいろな案内ができるかと思い、準備している」と答えた。同社が国内線の運賃体系の抜本的な見直しについて、公式の場で認めたのは今回が初めて。

 菊山専務執行役員はさらに「日本国内の運賃体系はガラパゴス化している。路線別どころか便別に複雑な運賃があるのは分かりにくい」と現行の運賃体系に対する問題意識を表明。そのうえで「国際線の考え方に沿ってシンプルにしていく。ただ、早期購入割引をなくすといったことはない」との方向性を示した。現在提供している「先得割引」などの早期購入割引は大筋で保持しつつ、便ごとに割引運賃を設定している「特便割引(特割)」などを見直しの主な対象にするとみられる。

 併せてJALは2021年11月2日、持分法適用会社のJALUXに対して双日と共同でTOB(株式公開買い付け)を実施して、JALの連結子会社にして上場廃止する方針を発表した。JALUXをJALグループにおける非航空領域の中核企業と位置づけ、マイレージやライフスタイル関連事業を強化する。斎藤祐二常務執行役員は「JALUXはこれまで連結対象外で、JAL本体と緊密に連携してライフスタイル関連事業を展開しづらかった。JALUXを連結対象とし、ANAグループにおけるANA Xに似た立ち位置にする」としている。