米Allegro MicroSystems(アレグロ マイクロシステムズ)は、電気自動車(EV)やハイブリッド車(HEV)のバッテリー用冷却ファンに向けたモータードライバー制御(駆動)ICを発売した ニュースリリース 。冷却ファンの3相ブラシレス直流(BLDC)モーターの制御に使う。特徴は、BLDCモーター駆動時に発生する騒音(ノイズ)や振動を抑えられることにある。同社によると、「EV/HEVの停車時は走行用モーター(トラクションモーター)が止まり、バッテリー用冷却ファンの騒音や振動が目立つようになるため、それらの低減が求められていた」という。応用先は、バッテリー用冷却ファンのほか、HVAC機器のブロワーや、燃料/オイルポンプなどである。
同社独自のFOC(Field Oriented Control)制御アルゴリズムを採用することで騒音と振動を抑制した。「この制御アルゴリズムによって、BLDCモーターに対して正弦波電流を連続して供給できるため、騒音と振動の抑制が可能になった」(同社)。制御アルゴリズムはハードワイヤード回路で構成し、ソフトウエア開発を不要にした。専用のGUIツール上でパラメーターを選択し、その結果を新製品に集積したE2PROMに書き込むことで対象のBLDCモーター向けに調整する。
新製品は、同社のBLDCモータードライバーICファミリー「QuietMotion」に含まれる。型番は「A89307」。FOC制御回路やゲートドライバー回路、E2PROM,チャージポンプ回路などを集積した。3相分のハイサイドスイッチとローサイドスイッチ(6個のパワーMOSFET)を外付けして使う。モーターの回転を検出するセンサーを外付けする必要はない。いわゆるセンサーレス制御が可能である。
車載用半導体ICの品質規格「AEC-Q100」に準拠する。電源電圧範囲は+5.5〜50V。パッケージは、外形寸法が5mm×5mm×0.9mmの28端子QFNで、ウェッタブルフランク構造を採用する。動作接合部温度範囲は−40〜+125℃。すでに販売を始めている。価格は明らかにしていない。