PR

 米Texas Instruments(TI)は、塩化チオニルリチウム1次電池で駆動する産業/医療機器に向けた昇降圧型DC-DCコンバーターICを発売した ニュースリリース 。最大の特徴は、静止電流が60nA(標準値)と少ないことである。同社によると、「競合他社品と比べると静止電流を1/3に抑えた。このためバッテリー駆動時間を最大20%延ばせる」という。具体的な応用先は、スマートメーターや煙探知器、玄関インターホン(ビデオドアベル)、携帯型医療機器などである。

電池駆動の産業/医療機器に向けた昇降圧型DC-DCコンバーターIC
電池駆動の産業/医療機器に向けた昇降圧型DC-DCコンバーターIC
(出所:Texas Instruments)
[画像のクリックで拡大表示]

 新製品には、負荷に電力を供給しながら、外付けの電気2重層コンデンサーを充電する機能を搭載した。塩化チオニルリチウム1次電池は起動時に出力電圧が低下する欠点があり、これを補うためにハイブリッド・レイヤー・キャパシター(HLC:Hybrid Layer Capacitor)を組み合わせるのが一般的である。しかし同社によると、「HLCは価格が高い。さらにHLCだけでは塩化チオニルリチウム1次電池の放電電流を制御できず、必要以上の電流が放電される危険性があった」という。新製品を使えば、HLCを電気2重層コンデンサーに置き換えられ、部品コストの削減と放電電流の制御が可能になる。

 新製品の型番は「TPS61094」である。4つの動作モードを備える。1つ目は、自動昇圧/降圧モードである。入力電圧(塩化チオニルリチウム1次電池の出力電圧)に応じて昇圧動作と降圧動作を自動的に切り替える。起動時に塩化チオニルリチウム1次電池の出力電圧が低下した際に電気2重層コンデンサーの出力で補う動作は、このモードで実行する。2つ目は強制降圧モードである。出力に負荷が接続されていないとき、電気2重層コンデンサーを充電する。3つ目は強制バイパスモードである。塩化チオニルリチウム1次電池の出力を負荷に直接接続する。4つ目はシャットダウンモードで、入力から負荷を切り離す。

自動昇圧/降圧モードにおける3つの動作状態
自動昇圧/降圧モードにおける3つの動作状態
図上が昇圧動作である。ユーザーが設定した出力電圧(設定電圧)に比べて電池からの入力電圧が低い場合、電気2重層コンデンサーの出力を昇圧して負荷に供給する。図中央が降圧動作である。設定電圧より入力電圧が0.1V以上高い場合、入力を出力にバイパスするとともに、入力を降圧して電気2重層コンデンサーに充電する。図下は、降圧動作から昇圧動作に切り替える場合などに発生する補完(サプリメント)動作である。この動作を使うことで、電池からの入力電圧の低下分を電気2重層コンデンサーの出力で補える。(出所:Texas Instruments)
[画像のクリックで拡大表示]

 前述の60nAという静止電流は、1つ目と2つ目の動作モードの場合である。3つ目と4つ目の動作モードにおける静止電流は4nAである。

 同期整流方式を採用する。入力電圧範囲は+0.7〜5.5V。負荷への出力電圧は+2.7〜5.4Vの範囲でユーザーが設定できる。最大出力電流は規定していないが、最大インダクター電流は2Aと大きい。スイッチング周波数は1MHz。変換効率は+3V入力、+3.6V/100mA出力のときに最大96.3%が得られる。電気2重層コンデンサーの充電終止電圧は+1.7〜5.4Vの範囲で、充電電流は2.5m〜600mAの範囲で、どちらもユーザーが設定可能だ。

 パッケージは、実装面積が2.0mm×3.0mmの12端子WSON。動作接合部温度範囲は−40〜+125℃。すでに販売を始めている。1000個購入時の参考単価は1.20米ドル。評価モジュール「TPS61094EVM-066」を用意した。参考単価は99米ドルである。