スウェーデンのリチウム(Li)イオン2次電池(LIB)メーカーであるNorthvoltは2021年11月12日、LIBのリサイクル処理プロセス「Revolt」を開始し、一度分解した電池材料で新しいLIBを製造したと発表した。また、その専用工場を近く建設し、LIBのリサイクル処理を本格化させることも発表した。
Northvoltは2030年までにLIBの生産能力を年産150GWhに高め、しかもその原材料の約1/2をリサイクル由来にする計画で、今回はその第一歩になる。これが軌道に乗れば、LIBの新たな価格引き下げ圧力になりそうだ。
Northvoltはまず、スウェーデンの首都ストックホルムの西北西100km超にある小都市Vasteras(ベステロス)にある同社の研究開発拠点で小規模なリサイクル処理と、回収した材料を用いたLIBの製造を進める。
次に2022年第1四半期には、ストックホルムから北に約600km離れたSkelleftea(スケレフチ)に本格的なリサイクル工場「Revolt Ett」(Ettはスウェーデン語で「1」の意味)の建設を始める。2023年中には竣工、稼働予定だとする。当初のリサイクル規模は年産4GWhだが、同工場の処理可能量は年間12万5000トン、電池にして30GWh分になるという。
同地には、Northvoltが建設中のLIBの大型工場「Northvolt Ett」が隣接する。当面の生産能力は年産60GWhだ。ストックホルムからやや遠いSkellefteaを選んだのは「工場に必要な電力を水力発電由来の再生可能エネルギー100%にできるから」(同社)という。
電池の金属の95%を回収
ここでいうリサイクルとは、3元系と呼ばれる正極がニッケル(Ni)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)から成る使用済みLIBを分解、破砕し、不純物を除去して、電池用に再利用できるようにする処理。破砕にはロボットを利用、不純物の除去には水溶液ベースの精錬(湿式精錬)を利用する。「電池の金属の約95%を回収できる」(Northvolt)という。
こうして回収した各種材料のうち、Li、Ni、Co、MnはNorthvoltのLIB工場に再供給する。また、銅(Cu)やアルミニウム(Al)、樹脂類は電池以外の用途にも利用する。