エイブリックは、車載機器に向けたバッテリー(電池)電圧監視ICを発売した ニュースリリース 。特徴は、+150℃と高い周囲温度で動作可能なことである。車載用半導体ICの品質規格「AEC-Q100グレード0」に準拠する。同社によると、「グレード0に準拠したバッテリー電圧監視ICの製品化は業界初」という。エンジン用電子制御ユニット(ECU)や、トランスミッション用ECU、排気再循環システム(EGR:Exhaust Gas Recirculation)用ECUなどに向ける。
新製品の特徴はこのほかに2つある。1つは、外形寸法が2.0mm×3.0mm×0.5mmと小さいHSNT-8(2030)に封止したことである。「搭載する電子部品が増えているECUの実装面積を削減できる」(同社)。もう1つは、動作時の消費電流が0.9μA(標準値)と少ないことだ。バッテリー駆動時間の延長に貢献する。
新製品の型番は「S-191ExxxxSシリーズ」。ECUに供給するバッテリー電圧が正常な範囲に収まっているかどうかを監視する。すなわち、過電圧と低電圧の両方を検出するウインドータイプのバッテリー電圧監視ICである。過電圧、もしくは低電圧の状態を検出すると、それぞれの専用端子の出力信号レベルを遷移させることでホストマイコンなどに知らせる。過電圧と低電圧の検出誤差は±2.0%と小さい。
新製品は低電圧の検出値と、過電圧の検出値、ヒステリシス幅(検出値と解除電圧との電圧差)などの違いで複数の品種を用意した。低電圧検出値の選択範囲は+4.0〜10.0V。過電圧検出値の範囲は+16.0〜18.0V。ヒステリシス幅は各検出値の0%と5%、10%の中から選択できる。出力信号形式はnチャネルのオープンドレインである。
自動車業界の生産部品承認プロセス(PPAP)に準拠することが可能という。パッケージはHSNT-8(2030)のほかに、8端子HTMSOPを用意した。動作温度範囲は−40〜+150℃。すでに販売を始めている。価格は明らかにしていない。