デンソーは2021年11月18日、同社の先端技術研究所(愛知県日進市)における取り組みに関する説明会を開催した。同研究所は1991年に「基礎研究所」として設立され、今年で30周年を迎える。説明会では、AIによる感情認識や量子コンピューティング、レアアースフリー磁石など、多岐にわたる研究の一部を紹介した。

 同社が研究に力を入れている技術の1つが、AIによる感情認識である。ドライバーの状態を適正に保ち、交通安全に貢献するという。具体的には、ドライバーの表情やしぐさを機械学習で分析して、感情表現をモデル化する。このモデルでドライバーの感情を数値化した上で、その数値から分かる感情に応じて車内空間を演出するといった利用を想定している。

図 AI技術でドライバーの感情を認識する
図 AI技術でドライバーの感情を認識する
イライラや眠気といった感情に応じて光や香りを出力するといった演出を目指す。(出所:デンソー)
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 例えば、イライラや眠気といった感情に対して、光や香りを出力するといった演出が可能になるという。表情だけでなく生体情報が加われば、感情認識の精度を高められるとする。ドライバーの感情を誘導できれば、あおり運転の防止や交通事故の抑止につなげられる。今後、実証実験を進める計画だ。

 量子コンピューティングでは、「量子古典ハイブリッドソルバー」と呼ぶアルゴリズムの研究を進める。同ソルバーは、古典コンピューターによる計算と量子コンピューティングを組み合わせたアルゴリズムで、量子コンピューティングだけで計算するよりも大規模な最適化問題などを効率的に解けるという。これを使って工場のAGV(無人搬送車)における走行経路の最適化といった課題に取り組む。

 レアアースフリー磁石は、資源リスクの回避や環境負荷の低減につながるとの期待がある。自動車の電動化を見据え、レアアースを含まず鉄とニッケルのみを原料にした「鉄ニッケル超格子磁石」の実現を目指す。