日本電気硝子は2021年11月18日、同社が開発を進めていた全固体ナトリウム(Na)イオン2次電池で、これまでの正極に加えて負極にも結晶化ガラスを用いた「オール酸化物全固体Naイオン2次電池」を開発したと発表した。出力電圧3Vで駆動することも確認したとする。
危険な金属Na負極から一転し、高い安全性を実現
日本電気硝子はこれまでに全固体Naイオン2次電池を試作し、稼働デモを実演してきた。
ただし、そのときの負極は金属Na。金属Naには、電池の出力電圧やエネルギー密度を大きく高められるメリットがあるが、水に触れると激しく反応し、発火、爆発するリスクがある。製造しやすさや信頼性、安全性の面では大きな課題を抱えていた。日本電気硝子にとっては、金属Naは正極や固体電解質の評価のためのあくまで暫定的な選択だった。
今回、負極材料に結晶化ガラスベースのものを採用し、高い安全性を実現したとする。具体的な材料は現時点で明かしていないが「電池材料が全て無機酸化物で構成され、使用時および製造時に発火や有毒物質発生の懸念がない」(日本電気硝子)という。
電池としての性能については、イオン伝導性が高く低温で動作し、サイクル寿命が長いとする。さらに、電池としての出力電圧は3Vで、リチウムイオン2次電池(LIB)とそん色ない水準にできたという。