韓国Samsung Electronics(サムスン電子)は、新たな2.5次元実装技術「H-Cube」を2021年11月11日に発表した ニュースリリース 。HPC(High Performance Computing)やAI(人工知能)、データセンターといった高性能アプリケーションを狙った技術である。H-Cubeを使うことで、3次元実装DRAM「HBM(High Bandwidth Memory)」を6個以上、1つのパッケージ内に収められるという。
同社は、18年にロジックのチップ(ロジックダイ)と2個のHBMを1パッケージに収められる2.5次元実装技術「I-Cube2」を発表し、21年5月にはロジックダイと4個のHBM4を1パッケージに収められる実装技術「I-Cube4」を発表している*。どちらも、シリコンインターポーザーを使う技術である。高性能アプリケーションではメモリー容量の大規模化要求は続いており、それに応えるにはHBMを6個以上1パッケージに収める必要がある。ただし、Cube4をそのまま、すなわち、より大きなシリコンインターポーザーを使うと、シリコンインターポーザーのコストや信頼性に課題が出てくる。
* 関連記事 Samsung、3次元DRAMのHBMを4つ搭載できる2.5次元実装技術そこで、同社は、パッケージ基板とシリコンインターポーザーの間にもう1層を追加した。追加した層は「Fine-pitch Substrate」と呼び、この新たな層をもつ2.5次元実装技術をH-Cubeと名付けた。H-CubeのHはHybridを表す。このH-Cubeは、Samsungと韓国Samsung Electro-Mechanics(サムスン電機)、米Amkor Technology(アムコー・テクノロジー)が共同開発した。
新規追加されたFine-pitch Substrateのはんだボールピッチは、パッケージ基板比で35%小さくしており、これによりシリコンインターポーザーの大型化を防いでいる。Fine-pitch Substrateとシステム基板との接続ピッチとの調整はパッケージ基板(HDI Substrate)が担う。なおH-Cubeを使った実装の信頼性を高めるために、Samsungは独自のシグナルインテグリティーとパワーインテグリティー解析技術を適用した。これによって、複数のロジックダイやHBMを1パッケージにまとめても、信号の損失やひずみを最小限に抑えつつ、安定的に電力を供給することが可能になったという。