三菱電機と産業技術総合研究所は2021年11月25日、切削加工機や産業用ロボットといったFA機器の動作速度や工具の回転数などをリアルタイムに調整する人工知能(AI)を開発したと発表した。例えば、加工中のワークの形状変形や、ワークそのものを変更したりする際、人手による調整を減らせる。

 近年の変種変量生産では、製造する製品の種類が多く、FA機器の設定を頻繁に変更しなくてはならない場合がある。人手による設定が増えれば時間も手間もかかり、生産性低下の一因になる。両者が開発したAIは、FA機器の状態を示すデータに基づいてその動作を自動調整する。

 具体的な適用例として開発を進めているものの1つが、切削加工機における加工誤差の推定と補正だ。切削加工機による実際の加工位置とCNCの指令値の間には誤差が生じる場合があるが、その大きさは加工位置によって異なる。ワーク形状が複雑だと人手による補正は難しい。開発したAIを用いると、加工による形状の変化に伴う誤差の推定と補正を自動化できる。加えて、AIが推定した誤差の信頼度を指標化し、信頼できる推論結果だけを用いて補正できるようにした。信頼度が低い場合は再学習する。

切削加工機におけるAIの適用例
切削加工機におけるAIの適用例
今回開発したAIによる誤差補正の概要(上)と、その評価結果(下)。(出所:三菱電機)
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 三菱電機が保有する切削加工機で評価したところ、このAIによる補正機能を適用しない場合と比較して、適用した場合は加工精度が51%向上したという。

 「加工環境の変化にリアルタイムに適応し、変種変量生産でも生産性の向上を目指せる」(三菱電機)。今後、三菱電機は自社の FA機器・システムへの実装を進める。