牧島かれんデジタル相は2021年11月26日、新型コロナウイルスワクチンの3回目接種に当たり、自治体は2021年12月中旬から住民が転居したときでも本人の同意なしで他の自治体と接種記録を共有できるようになると明らかにした。デジタル庁が法的整理を進め、ワクチン接種記録システム(VRS)を改修する。
VRSはマイナンバーを使い全住民の接種データ記録を管理している。ただ制度上、住民が転出入する際に本人の同意を得ないと、自治体をまたいで接種記録を共有できなかった。これにより、転居した人などに3回目接種を通知できない恐れがあると指摘されていた。
デジタル庁が検討したところ、本人転居時に自治体間で本人の接種記録を共有することは、マイナンバー法(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律)第19条16号の特定個人情報(マイナンバー)の提供制限で除外される「人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合において、本人の同意があり、又は本人の同意を得ることが困難であるとき」の、「本人の同意を得ることが困難であるとき」に該当すると、解釈を明確にした。
この整理の根拠として、牧島デジタル相は2つ示した。「3回目接種の実施方針は当初想定されておらずあらかじめ同意を得ることが困難であること」「接種券をなるべく早く送付する必要があるが、転出入時に全ての本人同意を得ることは困難であること」である。
これまでVRSでは自治体間で接種記録を共有する際に、本人の同意を得たことを示すチェックボックスにチェックを入れる必要があった。システムを改修して同機能を削除する。そのうえでVRSの利用規約を変更し、自治体に説明・周知する。自治体は利用規約の変更を確認したうえで利用規約に同意すると、住民転居時に自治体間で接種記録を共有できるようになる。