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 日産自動車は2021年11月29日、自社開発の全固体電池を搭載した電気自動車(EV)を28年度までに量産すると発表した。EVの普及の鍵を握る電池コストについては、全固体電池の量産で1kWhあたり75ドルに下げる。その後、65ドルまで引き下げることで「EVとガソリン車のコストを同等水準にする」(日産社長兼最高経営責任者の内田誠氏)考えである。さらに、全固体電池の採用で軽量化と低床化を実現したコンセプトカー3車種を披露した。

全固体電池を採用したEVプラットフォームのイメージ(出所:日産)
全固体電池を採用したEVプラットフォームのイメージ(出所:日産)
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 30年度を見据えた長期戦略「Nissan Ambition 2030」を発表した。全固体電池のエネルギー密度については、EV「リーフ」に搭載する現行の液系リチウムイオン電池に比べて「2倍にする」(内田氏)ことを目指す。コストについては一般に1kWhあたり100~200ドル程度とされるが、その半分以下の水準にする。

 エネルギー密度を2倍にするため、正極と負極の材料に液系とは異なる「全固体電池ならではの材料を選択する」(内田氏)考えだ。全固体電池の量産当初は正極と負極に現行の液系と同じ材料を採用する考えのメーカーもあるが、内田氏は「現行の液系電池と同等の性能であれば、全固体電池を開発する意味がない」と言い切る。一般に液系電池の正極には3元系(ニッケル・マンガン・コバルト)やリン酸鉄系、負極には黒鉛系が使われる。

 トヨタ自動車は、ハイブリッド車(HEV)用の全固体電池を20年代前半に量産すると発表したが、肝心のEV向けについては量産時期を明かしていない。電池寿命が短い課題などを解決できていないからだ。

 これに対して日産は「技術的にかなり先が見えており、量産化に自信がある」(研究開発を担当する同社副社長の中畔邦雄氏)と話し、トヨタが苦しむ電池寿命の課題解決にめどが立っていると示唆した。日産は24年度までに、横浜工場内に全固体電池の試作用生産ラインを導入する。中畔氏は「現時点で世界最高水準の性能に達した試作品ができており、量産化に向けて準備を進める」と明かした。