特種東海製紙(東京・中央)は、紙パルプの立体成形品「SILKY MOLD」を「ものづくりパートナーフォーラム東京2021」(主催:日経ものづくり、21年12月14~15日、東京都立産業貿易センター浜松町館)に出展した(図)。同社と上六印刷(奈良県生駒市)、名古屋モウルド(愛知県・扶桑町)の3社の合弁会社モルディア(岐阜市)の製品。従来の紙パルプ成形品にはない平滑性や加飾性が特徴で、製品・部品の包材としてプラスチック製品からの置き換えを狙う。
SILKY MOLDは、パルプを成形した後、湿った状態でプレス加工を施し、形状を整えたり模様を表現したりする「WETモールド」(以下、湿式成形)で製造する。パルプを成形して乾燥させてからプレス加工する「DRYモールド」(以下、乾式成形)に比べて、表面の平滑性が高い。
乾式成形が10°以上の抜きテーパーを必要とするのに対して、湿式成形は、高さに限界はあるものの、テーパーなしでの成形が可能。本体とふたが分かれた箱の場合は、本体とふたのすき間を小さくできるという。乾式に比べて紙粉の発生量が少ない、微細なエンボス加工が可能といった利点もある。
加えてSILKY MOLDは、さまざまな色の表現が可能。一般に紙パルプ成形品は、材料であるパルプの品質が一定でないため、添加する顔料の量などを調整するのが難しい。モルディアは、ロットごとの色のバラツキを抑えるノウハウを持つという。
複雑な形状も成形できるので、消費者に製品を販売する際の包材として使用できる他、工場などで部品を輸送するときの仕切り材・緩衝材としての利用も想定する。モルディアは、廃棄・リサイクルのしやすさなどからニーズはあると見ている。同社は、特種東海製紙と上六印刷、名古屋モウルドが21年4月に設立した。同月にSILKY MOLDの販売を開始している。