製品開発・設計・量産支援を手がけるスタッフ(大阪府門真市)は、同社が設計・製造で協力したViXion(東京・新宿)の暗所視支援メガネ「HOYA MW10 HiKARI」を「ものづくりパートナーフォーラム東京2021」(主催:日経ものづくり、21年12月14~15日、東京都立産業貿易センター浜松町館)に出展した(図)。低照度の光を増幅し、カラー映像として有機ELパネルに投射する。これにより、暗所で見えにくくなる夜盲症(やもうしょう)の患者でも、暗い場所の視界を確保できる。
暗所視支援メガネは、ヘッドマウントディスプレー(HMD)とコントローラーから成る。HMDの前面中央に配置した高感度カメラで周囲を撮影し、光を増幅させた上で、フレーム前面のパネルに投射する。赤外線の反射を利用した暗視カメラと異なり、距離に依存せず撮像できる。日本に50万人いるといわれる夜盲症の患者に「月や星を見せたい」(ViXion代表取締役社長の石塚隆之氏)というコンセプトの下、月明かり程度の0.6ルクスの光でもカラー映像化できるようにした。
スタッフが協力したのは、HMDのフレーム部分。デザイナーの佐藤オオキ氏〔nendo(東京・港)代表取締役〕によるデザインに基づき、設計や量産金型の製作などを担当した。金型の製作では、ディスプレーのカバーに当たる部分の勾配の設定などで苦労したという。
ViXionは九州大学と共同で、15年に暗所視支援眼鏡の開発を開始*。18年4月に日本で発売した。海外でもニーズがあるため、現在は輸出も検討している。夜間の警備や災害現場での活動といった用途も考えられるという。
ViXionは、15年から視覚障害を持つ人を対象とした電子メガネを研究・開発してきたHOYAのビジョンケア部門が、暗所視支援眼鏡事業を継承して独立したもの。21年1月にHOYAの関連企業として設立され、同年4月から営業を開始している。