ヤマハ発動機が産業用無人ヘリコプターの静音化に向け、流体+構造+音響の連成解析を活用していることが明らかになった(図12)。シミュレーションツールを提供するエムエスシーソフトウェア(東京・千代田)が2021年12月22日に公表した。エムエスシーソフトウェアが属するスウェーデンHexagon(ヘキサゴン)Manufacturing Intelligence(HMI)グループによるシミュレーション利用のコンテストで、無人ヘリのシミュレーションをテーマにしたヤマハ発動機が米Ford Motor(フォード・モーター)ほかのユーザーを抑えて1位になった。

図1 産業用無人ヘリコプターのローターのシミュレーション
図1 産業用無人ヘリコプターのローターのシミュレーション
(出所:ヤマハ発動機、エムエスシーソフトウェア)
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図2 空間に伝わる音圧の可視化
図2 空間に伝わる音圧の可視化
(出所:ヤマハ発動機、エムエスシーソフトウェア)
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 農業用途の無人ヘリは、しばしば住宅地に近い圃(ほ)場を飛行させる必要があるため騒音低減が課題になっている。加えて、騒音の低減によって作業者の疲労も減らせるという。以前は主にエンジン音の低減に取り組んでいたのに対し、「さらに、メインローターが発する音を減らしたい」(ヤマハ発動機)としてシミュレーションの応用を進めた。使用したツールは構造解析の「MSC Nastran」、流体解析の「Cradle CFD」、音響解析の「Actran」。これらを連成させ、騒音を低減させるための洞察を得た。

 今後はさらに、「業種や用途に最適化されたメインローターのカスタム開発への貢献に期待している」(ヤマハ発動機)としている。シミュレーションの活用によって仕様を確定するまでのプロセスを高速化できるためだ。音響解析により「これまで見えなかった音が見えようになり、メインローターに限らず無人ヘリ全体の設計開発に大きなインパクトをもたらす」(ヤマハ発動機)という。

 ヤマハ発動機が1位になったコンテスト「2021 MSC Nastran Excellence Award」では、フォードとイギリスの大学発ベンチャーDaptablade(ダプタ)がそれぞれ2位だった。フォードのテーマは商用車のルーフラックの疲労試験効率化に向けた実施計画策定、ダプタのテーマは航空機用の繊維強化材料を軽量化する繊維配向シミュレーションだった。