カネカは、ドライアイスの代替利用が可能な潜熱蓄熱材「PATTHERMO CV-70」を開発した。潜熱蓄熱材は融解熱*を利用した定温輸送に使う材料。融点を-70度(℃)まで下げて輸送の幅を広げた。既に業務用に販売を開始している。
PATTHERMOは同社の潜熱蓄熱材のブランドで、これまでの製品ラインアップのうち最も融点の低いものは-50℃だった。新しい潜熱蓄熱材はこれをさらに20℃引き下げたことで、従来はドライアイスが必要だった冷却用途に使えるようにした。ドライアイスは安定的な調達や取り扱いの安全性に課題がある。そのため、物流業界では繰り返し使用できる蓄熱材への代替が進んでいる。
新しい潜熱蓄熱材の主成分は水で、これに無機化合物を添加する。ただし、無機化合物の組成や添加量については明かしていない。同社のグループ会社が製造する専用容器に入れて使用した場合、35℃の外気温度環境において-60℃以下の定温輸送が最大で55時間可能となる(図)。適切な温度管理が必要な医薬品の輸送などに向く。価格は要相談。