22年のポイント「複合化する不確実性」
一方ND社は、22年の受注予想額を21年比3.2%減の1兆5000億円とみる。「好況なれど生産逼迫」(ND社編集長八角秀氏)というのが同社の見立てだ。現在、工作機械は需要が回復したものの、部品不足や素材高騰などを背景に受注残が膨らんでいる。このため「22年は工作機械の長納期化、納入遅延に対する調整が入ると考えられる」(同氏)として、需要は旺盛だが受注額は微減になると予想した。
加えて同氏は、22年の工作機械業界の状況を示すキーワードとして「複合化する不確実性」を挙げた。長期化する米中対立に代表される政治不安、再流行している新型コロナ禍の影響、為替リスクといった見通しにくい要因に加え、カーボンニュートラル(温暖化ガス排出量実質ゼロ)やクルマの電動化の進展によって市場が変わりつつあるためだ。「カーボンニュートラルや電動化はピンチでもありチャンスでもある」(同氏)。電動化によってエンジン部品などの加工需要は減るものの、カーボンニュートラルによって新しい産業が立ち上がればそこに新たな工作機械需要があるとみている。