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 コニカミノルタとNECは、2022年1月17日、コニカミノルタの研究開発拠点に設置したローカル5G(第5世代移動通信システム)を用いた無軌道型の無人搬送車(AGV)の制御システムの実証試験を公開した。AGVに搭載したカメラで撮影した映像をローカル5Gによる無線通信で収集し、AGVをリアルタイムに制御する。今回の実証試験では、2台のAGVが人や障害物を検出して安全に走行する様子を披露した(図1)。

図1 AGV制御システムの実証試験場
図1 AGV制御システムの実証試験場
工場の生産ラインを模した実証試験では、AGVが障害物(写真左の段ボール)との接触を避けながら、組み立て用ロボット(写真右奥)へ部品を搬送した。(出所:NEC、コニカミノルタ)
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 NECは複数台の種類の異なるAGVや自律移動ロボットなどを一元的に管理・制御できるソフトウエア「NEC マルチロボットコントローラ(MRC)」を提供している(図2)。今回の共同開発では、MRCの通信手段として高速・大容量・低遅延が特徴のローカル5Gを活用して、AGVの自動運行をリアルタイムに制御できるシステムの開発を目指した。

図2 NEC マルチロボットコントローラ(MRC)の操作画面
図2 NEC マルチロボットコントローラ(MRC)の操作画面
AGVやロボットをすべて遠隔で一元的に管理・制御する。(出所:NEC、コニカミノルタ)
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 AGV走行時の障害物の検出には、コニカミノルタの人工知能(AI)による画像処理技術「FORXAI(フォーサイ) Imaging AI」を使っている。FORXAIは同社が提供する画像IoTに関する技術プラットフォーム。FORXAI Imaging AIの物体検出アルゴリズムにより、100fps以上での物体検出を実現した。同社によると、今回開発した映像を用いた制御システムは、LiDAR(レーザーレーダー)を用いた一般的な制御システムと比べて、より遠距離から障害物を検知して迂回路を探索できる。このため、AGVの後退などの無駄な動作を行わず高効率な搬送を実現できるという(図3)。

図3 障害物を検出して停止するAGV(左)とAGV搭載カメラの映像(右)
図3 障害物を検出して停止するAGV(左)とAGV搭載カメラの映像(右)
人と物体の区別も可能。(出所:NEC、コニカミノルタ)
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 今回公開した実証試験設備は、コニカミノルタが掲げる「未来ファクトリー」構想に基づくもので、同社の研究開発拠点「Innovation Garden OSAKA Center」(大阪府高槻市)に設置した。未来ファクトリー構想では、産業用ロボットの共通化や工程間のものの移動を自動化する。多様化する顧客ニーズに対して多品種少量生産を実現するため、需要の変動や部品の変更を、プログラムの更新など小規模な変更で対応できる工場の構築を目指す。

 今後の課題について、コニカミノルタIoTサービスPF開発統括部統括部長兼画像IoTソリューション事業部副事業部長の岸恵一氏は、「実用化に向けてAGVの接続台数を増やした際は、画像処理や生産設備との連携が複雑化する」と語った。将来的に数百台のAGVを同時に制御することを目指し、まずはNEC、コニカミノルタそれぞれの生産拠点で規模を拡大しての実証試験を進める。