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 日本民間放送連盟(民放連)は2022年1月17日、1月12日に総務省に提出した「電波利用料の見直しに係る料額算定の具体化方針」の案に対する意見の内容を公表した。この中で、「電波利用料を財源とする高度無線環境整備推進事業を精査すべき」と主張した。「なぜGIGAスクール構想を進めるのに必要な情報通信基盤の整備に電波利用料が使われるのか」という点が疑問ということのようだ。

 意見書によると高度無線環境整備推進事業の令和2年度(2020年度)当初予算では52.7億円が計上されていたが、1次補正で30.3億円、2次補正で501.6億円が追加計上され、2021年度中に光ファイバーが未整備の学校を含め、市町村が希望するすべての地域で光ファイバーを整備するという方針になった。このため、総務省の公表資料を見ても明らかな通り、電波利用料財源歳出予算は令和2年度が突出する結果となった。

電波利用料財源歳出予算の推移
電波利用料財源歳出予算の推移
(出所:総務省のホームページ、https://www.tele.soumu.go.jp/j/sys/fees/account/index.htm)
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 民放連は、高度無線環境整備推進事業の意義について「コロナ禍における緊急対応として、全国的な光ファイバー整備の意義自体は理解できる」と前置きした上で、「高度無線環境整備推進事業の目的や趣旨を拡大解釈し、歳出規模を500億円以上拡大したことは極めて異例」「電波利用料を負担している無線局免許人の十分なコンセンサスがあったとは言えない」「電波利用料を財源として実施すべき事業であったか、また当初予算の10倍規模になったことは妥当であったかを十分に精査する必要がある」と指摘するとともに、「こうした前例が歳出規模の肥大化を助長しないよう、歯止めを設けるべき」と主張した。

 民放連は、次期(2022~2024年度)の電波利用料の歳入・歳出をとも約750億円を想定していることに対して、「総額規模を約750億円に据え置く方針には賛成できない」とし、「総額規模を抑制し、すべての無線局免許人の負担軽減を図る」ことを強く要望した。

 また、「行政が免許不要局のさらなる導入や帯域拡張を進めるのであれば、同時に免許不要局にも相応の電波利用料を課し、機器販売の段階で確実に徴収するなどの制度を創設することが必要不可欠」と指摘した。

発表資料