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 TDKは、積層セラミックコンデンサー(MLCC)の製造工程で使うPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムを再利用するリサイクル工程を構築した ニュースリリース 。運用を2022年1月に同社の本荘西工場(秋田県)と北上工場(岩手県)で開始した。同社によると、「MLCCの製造工程で使用するPETフィルムのリサイクルは業界初」という。

リサイクルによって製造されたPETフィルム
リサイクルによって製造されたPETフィルム
(出所:TDK)
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 今回のリサイクルによって、二酸化炭素(CO2)の発生量を約10%削減できる。「PETフィルムをナフサから製造する場合、エチレンとテレフタレートを重合させる際に多くのCO2が発生する。リサイクルならば、この重合工程が不要なため、CO2を10%削減できる」(同社)。

 同社は、今回のリサイクルによって、CO2の削減に加えて、MLCCの売り上げ増を期待している。「4〜5年前から、ユーザーの電子機器メーカーが当社工場を監査した際に、PETフィルムのリサイクルを問うようになった。電子機器メーカーは環境保全の取り組みを強化しており、使う電子部品の環境負荷を重視し始めているためだ。PETフィルムのリサイクルへの電子機器メーカーのニーズは高く、それにいち早く対応すれば売り上げの増加が期待できると考えた」(同社)。リサイクルによってPETフィルムのコストは若干高くなってしまうが、そのマイナス分を上回る売り上げ増が得られるという計算である。

 MLCCの製造では、2つの用途でPETフィルムが使われている。1つはキャリアフィルムだ。PETフィルムに誘電体ペーストを塗布してシート化する際の基材である。キャリアフィルムを使うことで、内部電極形成の工程におけるハンドリングが容易になる。もう1つは、プレスフィルムである。内部電極を形成した誘電体シートはキャリアフィルムから剥がして複数枚積層する。その後、積層した誘電体シートは金型を使ってプレスするが、その際にプレスフィルムをはさんで、金型が誘電体シートに直接触れることを防ぐ。

 従来、剥がされたキャリアフィルムはそのまま廃棄し、焼却していた。今回開発したリサイクル工程では、キャリアフィルムに残った誘電体や表面コート用薬品などの残さ物を洗浄して取り除いた後、溶かしてからチップ化する。これを今回の協業企業である東レが、PETフィルムへとリサイクルする。

積層セラミックコンデンサーの製造工程
積層セラミックコンデンサーの製造工程
(出所:TDK)
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開発したリサイクル工程
開発したリサイクル工程
従来、使用後のPETフィルムは廃棄(焼却)していた。開発したリサイクル工程では、使用後のPETフィルムを洗浄して溶かしてチップ化し、協業企業の東レが再生PETフィルムを製造する。(出所:TDK)
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 ただし現時点では、リサイクルしたPETフィルムはプレスフィルムとしてしか使えない。すなわち、キャリアフィルムには使えない。「リサイクルしたPETフィルムは、収縮性などの特性がバージンのPETフィルムとは異なる。一方、プレスフィルムであれば、MLCCの特性に悪影響を与えないことを確認した」(同社)。今後同社は、キャリアフィルムとして使えるようにリサイクル工程の改善などに取り組む考えである。また、リサイクルしたPETフィルムをプレス工程で使ったあとは廃棄しているが、その再利用の研究開発を進めているという。

プレスフィルムとして使用
プレスフィルムとして使用
リサイクルしたPETフィルムは、プレスフィルムとして使用する。(出所:TDK)
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 さらに同社は、今回のPETフィルムのリサイクル技術をMLCCだけでなく、インダクターやフィルター、抵抗器といった受動部品の製造工程に横展開していく考えだ。「26年までに、PETフィルムのリサイクル率を当社全体の使用量の20%に高める計画である」(同社)。