日立パワーソリューションズ(茨城県日立市)は2022年1月19日、発電所などの社会インフラ施設や設備の運用および保守を支援する新たなサービスの提供を開始すると発表した。機械学習のアルゴリズムを搭載した保守サービス運用基盤「KamomeX(カモメックス)」を開発。既存の設備管理システムと組み合わせて使う。これにより、施設や設備保全に関する知識や経験のデータ化や保守判断情報の提供などを行い、保守業務を担う技術者を支援する(図1)。
新しい保守サービス基盤の特徴は、分析精度が高まり、熟練技術者ではなくても高度な保守業務が可能になること。これは圧力や温度といった設備の稼働データ以外に、稼働環境の変化や技術者の判断過程なども広く学習するため。設備の計画外の停止リスクや保守コストも抑えられる利点もある。
設備の状態を定量化して異常検知などを行う診断システムは珍しくない。だが、多くは設備の劣化や運用基準の変化によって分析精度が低下するため、実際の保守業務では熟練技術者のノウハウに依存している部分が多いという。
新しい保守サービス基盤は、日立製作所のIoT(Internet of Things)基盤「Lumada(ルマーダ)」が展開するサービスの1つとして、2022年4月1日より提供を開始する。「まずは当社の得意とする社会インフラ設備に対して提供を開始し、2024年度までに年間売り上げとして30億円を目指す。その後は生産現場などへ徐々に広げていきたい」(日立パワーソリューションズ経営戦略部担当部長の武田貴宏氏、図2)。