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 NTT西日本は2022年1月28日、光回線の受付システムで2021年5月に発生したシステム障害について改めて記者会見を開いた。このなかで同社は、新規申し込みから開通までの所要時間について、光ファイバーの新規敷設などを伴う一部の契約を除きシステム障害の発生前と同程度に回復したと明らかにした。

 一方、2021年6月の受け付け再開以降も工事時期の遅延が相次いだことにも言及。小林充佳社長は「トラブルが起こってから8カ月の間、お客さまや事業者、ならびに事業者が提供するサービスをご利用の皆さまなどに多大なご迷惑、ご心配をおかけしたことを改めて深くおわび申し上げる」と陳謝した。

 今回のシステム障害では、旧システムから新システムへの移行に際し、移行前に受け付けて移行後に工事予定だった約26万8000件の「仕掛かり中データ」のうち、約12万3000件がエラーとなった。住所表記などが新システムの入力規則に合わなかったためだ。エラー件数は当初想定の5万~6万件の2倍以上に上った。

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 今回の会見では仕掛かり中データについて、住所表記以外にも入力項目の不足などがあり、それらを補完するため個別にヒアリングをしていたと明らかにした。「メールアドレスや工事担当者の派遣要否、(光回線の卸先である)光コラボレーション事業者への確認事項などをヒアリングした」(猪俣貴志執行役員デジタル改革推進部長)。

 その結果、当初設定した工事日に間に合わないオーダーが多発。改めて顧客に連絡を取って工事日を調整する手間が生じるなど、影響が連鎖して工事時期がさらに遅れ、対応が長引いた。

システム障害の復旧後も工事の遅延が続いた経緯
システム障害の復旧後も工事の遅延が続いた経緯
(出所:NTT西日本)
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 加えて、受け付け再開直後の2021年6月は、新規申し込みが約42万6000件と、通常時の月25万件前後を大幅に上回った。担当部門の稼働が逼迫したため、システム障害以前の申し込みに加えて受け付け再開以降の新規申し込みでも一部で工事日を延期する事態となった。

 同社はこうした未開通オーダーが積み上がった状況でも新規申し込みの受け付けを続行した。代わりに混乱収拾策として、申込時に工事日を提示済みの「即決オーダー」を優先し、工事準備が整い次第工事日を打ち合わせる「非即決オーダー」を後回しにする対応を取った。

 この結果、即決オーダーの工事日の延期は2021年9月末までにほぼ解消したが、非即決オーダーの消化に時間を要し、ほぼ全面解決するまでに8カ月を要したという。なお現在も、「(光ファイバーの新規敷設といった)大きな設備工事を伴う一部の顧客などは今しばらくお待ちいただいている」(小林社長)という。

 同社によると、当初提示した工事日に工事ができず、日程を再調整したオーダーは約4万9000件に上るという。工事日未定のまま標準的な準備期間の2カ月程度を超えて工事をできなかったオーダーは8万件強だ。前者のうち廃止や名義変更のオーダーなどを除く約3万4000件に対しては、新規申し込みで5000円相当、付加サービスの申し込みで1500円相当のおわび金を支払った。

 また、法人契約でシステム構築などに影響が出て実損が生じたケースもあり、約500件に損害賠償金を支払っているという。工事日未定の状態が長期化したオーダーに関しては、「一部の光コラボレーション事業者が独自におわび金を支払ったと聞いている」(NTT西日本広報)としている。

■変更履歴
公開当初、新規申し込みから開通までの所要時間がシステム障害発生前と同程度に回復した対象を「一部の法人契約」としていましたが、正しくは「光ファイバーの新規敷設などを伴う一部の契約」です。併せて小林充佳社長の発言を「大きな設備工事を伴う一部の法人顧客などは今しばらくお待ちいただいている」としていましたが、正しくは「(光ファイバーの新規敷設といった)大きな設備工事を伴う一部の顧客などは今しばらくお待ちいただいている」です。おわびして訂正します。本文は修正済みです。[2022/1/31 9:40]