LPWA(Low Power Wide Area)の老舗規格「Sigfox」を開発した仏スタートアップのSigfox(以下、Sigfox社)が、経営難でフランスの裁判所によって管財人の管理下にあることが分かった。仏日刊紙Le Figaro(フィガロ)が2022年1月26日(現地時間)に報じた。日本でSigfoxネットワークを提供する京セラコミュニケーションシステム(KCCS)は、報道が事実であることを認めた。現在Sigfox社は今後6カ月間で社員の雇用や技術を維持する新たな出資先を探し、再建を目指しているという。KCCSは国内でサービス提供中のSigfoxネットワークについて継続する考えを示している。
Sigfox社は10年に創業。12年にIoT向けネットワークサービスの提供を開始した。上り通信速度をわずか100ビット/秒に抑え、年額100円からといった低料金を売りに、世界75カ国にサービスを広げていた(21年11月時点)。
Sigfoxネットワークは、基地局とクラウドサービスをSigfox社が提供し、各国におけるネットワークの展開と運用を同社と協業するパートナー企業が担う。日本ではSigfox社と協業したKCCSが17年からSigfoxネットワークを運用している。
報道によるとSigfox社は、新型コロナウイルス感染症の世界的な広がりによって、過去2年間における活動が停滞したほか、半導体など電子部品の不足も追い打ちをかけて財務状況が悪化していたという。
KCCSの広報担当者は、「日本のSigfoxネットワークの利用者には当面影響がないと考えている。万が一、Sigfox社が担っているクラウドサービスの提供が難しくなった場合、クラウドサービスの日本への移管を含めて、日本におけるサービスを継続する」と話す。