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 「VISION-Sの市場投入は、検討することを発表したまでで、EV(電気自動車)市場への参入を決定したわけではない」――。ソニーグループ(ソニーG)副社長兼CFO(最高財務責任者)の十時裕樹氏は、2022年2月2日に開催した決算説明会で、EV市場への参入はまだ検討段階であることを強調した。

ソニーグループ副社長兼CFO(最高財務責任者)の十時裕樹氏
ソニーグループ副社長兼CFO(最高財務責任者)の十時裕樹氏
(出所:会見の様子をキャプチャー)
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 22年1月に米ラスベガスで開催された「CES 2022」で、同年春に設立すると発表した新会社「ソニーモビリティ」について十時氏は、「具体的な設立時期はまだ決まっていない」とした。「自動車に関しては、まだ勉強しなければならないことが多い。今後、さまざまなパートナー企業との連携や提携を前提に、(VISION-Sの市場投入を)検討していく」(十時氏)。

 また、台湾TSMC子会社のJapan Advanced Semiconductor Manufacturing(JASM)について十時氏は、「初回の出資を完了した」と話した。JASMは22年から熊本県に半導体工場を建設する予定で、「24年に予定する量産開始に向けて、新工場の立ち上げに協力しサポートしていく」(十時氏)。

 ソニーGが同日発表した22年3月期第3四半期(21年10月~12月期)の連結決算(国際会計基準)は、売上高が前年同期比13%増の3兆313億円、営業利益が同32%増の4652億円で、第2四半期に引き続いて「第3四半期の実績としてはいずれも過去最高を更新した」(十時氏)。

 これに伴い、21年10月時点の通期の業績予想を上方修正。売上高は9兆9000億円に据え置きつつ、営業利益は15%(1600億円)増の1兆2000億円とした。

ソニーグループ分野別の2021年度第3四半期の実績
ソニーグループ分野別の2021年度第3四半期の実績
(出所:ソニーグループの資料)
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 分野別では、映画分野が第3四半期の業績をけん引した。売上高が前年同期比141%増の4612億円、営業利益が同636%増の1494億円と大幅な増加を見せた。主に、「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」や「ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ」といった新作映画の劇場興行収入が増収につながったという。

 ゲーム&ネットワークサービス(G&NS)分野は、売上高が前年同期比8%減の8133億円、営業利益が同15%増の929億円だった。減収はハードウエアや周辺機器の売り上げ減少が主な要因だという。特に「PlayStation 5(PS5)」は、世界的な半導体不足や物流の混乱により、「今年度の販売台数は1150万台程度になる見込み」(十時氏)とし、21年4月時点で約1480万台としていた年間販売台数目標を下方修正した。

 第2四半期が減収減益だったイメージング&センシング・ソリューション(I&SS)分野は、第3四半期では業績が一転した。売上高が前年同期比22%増の3248億円、営業利益は同26%増の647億円と増収増益となっている。主にモバイル機器向けイメージセンサーの販売数量の増加などが増収につながったという。「来年度の売り上げ成長に手応えを得られているため、今後は製品の高付加価値化に一層注力していく」(十時氏)。

 一方で、第2四半期が増収増益で好調だったエレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション(EP&S)分野は、一転して減収減益となった。売上高は前年同期比2%減の6869億円、営業利益は同23%減の800億円となった。主な要因はデジタルカメラやテレビなどの製品の販売台数が減少した影響だという。半導体不足が続く中で「部品確保が最重要課題」だと十時氏は話す。