伊仏合弁STMicroelectronics(STマイクロエレクトロニクス)は、「USB PD(Power Delivery)3.0」規格に準拠した降圧型DC-DCコンバーターICを発売した ニュースリリース 。同社が、USB PD 3.0規格準拠のDC-DCコンバーターICを製品化するのは今回が初めて。応用先は、マルチポートACアダプターやUSBハブ、PCモニター、スマートテレビなどである。
USBインターフェースの送信側に搭載したマイコンと今回の新製品をI2Cバスで接続し、これを介してマイコンから出力電圧を設定できる。競合他社のUSB PD3.0規格に準拠したDC-DCコンバーターICに比べて、設定分解能が高いという。具体的には、新製品の設定分解能は20mVである。
今回の新製品は、USBケーブルで発生する電圧降下(電圧ドロップ)を補償する機能を備える。この機能を使えば、DC-DCコンバーターICの出力電圧に電圧降下分を上乗せできる。ただし、接続したUSBケーブルの抵抗値をリアルタイムに検出し、上乗せする電圧降下分を動的に変更することはできないため、使われたUSBケーブルの長さや材質によって、上乗せした出力電圧が常に最適になるとは限らない。
新製品の型番は「STPD01」。同期整流方式を採用したDC-DCコンバーターICで、ハイサイドスイッチとローサイドスイッチの両方を集積する。オン抵抗は、ハイサイドとローサイドどちらも50mΩ(標準値)。入力電圧範囲は+6〜26.4V。出力電圧の設定範囲は+3〜20V。設定分解能は20mVと細かい。スイッチング周波数は500kHz、もしくは750kHzのどちらかを端子設定で選択できる。変換効率は、+20V、1.5A出力時に96%(標準値)が得られるという。電流制限機能のしきい値もI2Cバスを介して設定可能。このほか、過電圧保護機能や過電流保護機能、過熱保護機能、ソフトスタート機能などを備える。
パッケージは、実装面積が3mm×4mmの24端子QFN.動作温度範囲は−40〜+125℃。すでに量産出荷を始めている。500個購入時の参考単価は約1.58米ドルである。